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2000.4.5
私のくるま


札幌から三陸へ転勤する2年前に39万円(車屋さんによるとサンキュー価格)で買った車でしたが、東京に来て乗る機会が殆どなく、車検切れを機に手放すことになりました。

私がこれまで所有した車は、学生時代に所有のトラック「虎吉」、室蘭時代の名車「2号車」などがあり、これらはいずれも機会をみて皆さんに御紹介しなくてはならないほど魅力的なものばかりですが、その中にあって今回の黒のプレリュードは唯一「まともな自動車」にカテゴライズされる1台でした。
東北6県をくまなく走るなど本当にその体をすり減らして頑張ってくれたので殆ど残存価値はないのかと思っていましたら、3万円の値段がつきました!

近所のくるま屋に引き取ってもらったのですが、大事にしていたものに価値を見いだしてもらうというのは、その値段の高・低にかかわらず嬉しいものです。
車との別れによる一抹の寂しさはどうしようもないとしても、とても嬉しい気持ちになりました。

そして昨晩のこと。
仕事が終わってこの中古車屋さんの前を通ったら、ピカピカに洗われてこの黒のプレリュードがショーウィンドウの中に入っています。
しかも「売約済」という札を下げて。

私はなんだか無性に嬉しくなって、近くのコンビニで使い捨てカメラを買い、店の前まで戻って中に置かれている自分の車の写真を撮りました。
誰が買って下さったのかは勿論わかりませんが、またその方といろいろな所を走るのでしょう。
元気で頑張れー!




2000.4.17
飛行機のヘッドホン


全く飛行機というのは便利な乗り物ですが、何故あんな大きなものが飛ぶのか、感覚的には未だに理解できていません。
中学生の頃、私の弟が「あれが飛ぶなら俺が飛んでもおかしくない」と奇妙なことを語っていましたが、「実に上手いことを言うものだ・・・」と秘かに感心したのを覚えています。

その飛行機の中で、いつも気になる存在。
それが、白い半透明のシャカシャカの袋に入れられ、乗客よりも一足先に座席で待っているヘッドホンです。

まず気になるのは聴診器のようなあの形状。
通常「ヘッドホン」と言うと、耳元に小型のスピーカーがあって直接そこから音が出るものですが、あの「聴診器型ヘッドホン」は、「ヘッドホン」とは名ばかりの、スピーカーなど一切組み込まれていない単なるチューブです。

「なに、スピーカーがない?ではどこから音が出てるのさ!」と仰る方もいらっしゃるかも知れませんが、それは座席の手元の差込口となっているあの「穴」から直接出ているのです。

私は一度、あの穴を目がけてヘッドホンの先をゆっくり近付けてみるという実験をしたことがあるのですが、穴との距離10cm位になった辺りから音を拾い始めて何やらシャカシャカと聞こえ始めるのです。
更に近づけるに従ってシャカシャカ音も一層大きくなり、スポッとはまった時!普通のサウンドとしてお聞き頂けるという仕組みです。
つまりスピーカーはあの穴の中に存在しているのであり、くだんのヘッドホンはと言えば、穴の中にあるから出ている小さな音を拾って私達の耳に届けるホースとして機能している、極めてローテクな器具なのです。
実は肘掛け内部の構造も気になって仕方なく、思わずドライバーなどで分解して中を調べてみたくなりますが、厳戒態勢にある機中で乗客が機体を分解し始めた時の騒ぎは、想像しただけで具合が悪くなりますね。




2000.4.24
レコード・プレイヤー購入!


新しいレコードプレイヤーを買ってしまいました。
ヨドバシカメラで6,900円!

私はレコードと同様、レコードプレイヤーという機器に対しも大いなる畏敬の念を抱いており、こんな低価格で売られていることに正直驚きました。
勿論もっと高価な機種はいくらでもあるのですが、最も安価なaiwaのやつを購入して帰宅しました。

興奮気味に自宅へ戻り、まず机の横の本棚の上に慎重にセット。
そして最初に何を聴くかで死ぬほど悩みますね。
廃盤シングルレコードの一群からとも考えましたが、悩みに悩んだ末、ダウンタウンブギウギバンドの2枚目「続 脱・どん底」を選択しました。
そしてこの判断は、今年上半期の「ベスト判断」と言い切れるほど素晴らしいものであったことが、すぐ明らかになるのです。

千歳市高台小学校5年生の幼気な私は、洋楽の類など言うに及ばず、「バンド」という形態も見たことがなく、テレビに映る歌謡曲の世界しか知りません。
そんなテレビ画面に、突然「スモーキンブギ」や「港のヨーコヨコハマヨコスカ」等を歌いながら、いえ、何より楽器を弾きながら登場したダウンタウンブギウギバンド。
こんな世界があるのか・・。

当時はレコードを買うお金も知識もありませんでしたが、友達の安孫子君(私にガッツ星人というあだ名をつけたやつ)の家でこのレコードを聴いたのでした。
ブルースの音やコード進行に触れたことのない自分には(今から思えば尚のこと)おあつらえ向きの一枚で、ビッグ・バンド・ジャズのアレンジの曲から始まり、メドレーで「イン・ザ・ムード」にまで繋がっていくという有難さ。
2曲目はエルモア・ジェームスさん調のシャッフル・ブルース。
残念なのはジャケットだけ(好きな方がいたらすみません)という、私の成長を促してくれた一枚でした。

やっぱりレコードは楽しいなー。
このプレイヤーは今後私の生活の中で大活躍することでしょう。




2000.4.30
長谷川町子美術館


私は現在世田谷区に住んでいますが、世田谷桜新町に長谷川町子美術館という建物があります。
私はサザエさん好きなので以前より気になっていたのですが、本日行ってまいりました。

漫画の連載がサザエさんが始まったのは戦後まもなくの昭和21年で、当時の単行本も勿論手に入らないのですが、一度1994年に朝日新聞社から再発刊されたことがあり、私は喜んで1巻と2巻を購入しました。

手元に「戦後日本の大衆文化史」というタイトルの岩波書店の書籍があり(この本自体は期待に反して大して面白くない)、その中ではサザエさん初年度連載分の内容分析なども行なわれています。
それによりますと、海外からの復員、ヤミ市、食料買出し、配給など、要するに「社会的話題」が全体の41%に上るとのこと。
漫画の分析というのも野暮と言えば野暮ですが、確かに初期のサザエさんには戦後の生活や文化が満載です。

長谷川町子さんとそのお姉さんは美術が大変好きだったようで、この小さな美術館もその絵画を展示するために建てられており、長谷川町子さんの作品に関するコーナーはそのほんの一角にあるだけなのですが、十分に 楽しめます。

中でも興味深かったのがその生い立ちで、彼女とその家族の強烈に前向きな生き方は、混乱期だからこそと言ってしまえばそれまでですが、結構ガツンと来ました。
サザエさんが単行本するまでの経緯などもなかなか波瀾に富んでいます。
この辺のことは、きっとこの美術館でなくても色々と書かれたものがあることと思いますが。

それにしても、少なくとも自分は「お魚くわえたドラ猫」を間近で見たことがありませんし、ましてやそれを追ってご婦人が裸足で駆けて行く場面に1度も出くわしたこともありません。生活や文化が明らかに変わった証左でもありますね。