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2000.7.8
懐かしの防災無線


今般の三宅島近辺の火山噴火、地震、豪雨等は本当にお気の毒ですが、その中にあって神津島全域に配備された「防災無線」の活躍が伝えられています。

一般にはあまり馴染みがないと思われる「防災無線」。
実際私も三陸に移り住んではじめてその存在を知ったのですが、ごく簡単に言うと、集落ごとに設置されたスピーカーによる放送で、 津波等の災害の多い三陸地域においては、地域住民に各種の災害情報を発信するという、極めて重要な使命を負っているのです。


しかしこの「防災無線」、単に地震・津波等の生命に関わる情報に混じって、大きい外国船が入港したというニュースやら、今日の市民会館でのコンサート情報など、 どう考えても災害とは無縁な情報も随時発信されるため、全く聞き逃せません。

また市内で火災などが発生しますと、「火災発生、火災発生。藤の川1丁目、上野商店付近の事務所で火災発生。」 といった具合に発生ポイントを必要以上に詳細に伝えるため、市内全域から野次馬が集結するなど、不思議な逆効果も 発現しています。
一方、夕方の5時には「からすの歌」が流れ、仕事中の私をほのぼのとした気持ちにさせてくれました。

そんな訳で、今回の災害関連の報道で「防災無線」という言葉を聞いた途端、三陸に住んでいた頃の色々な情景が 一瞬にして目の前に広がって、少しウルウルしてしまいました。




2000.7.9
発見!「ため息路線」


7月3日に青江三奈さんの訃報が伝えられましたが、関連の報道の中に森新一さんの興味深いコメントがありました。
「私と青江さんは、当時「ため息路線」として売り出しており、キャンペーンなどにも一緒に回ったものです。」

ため息路線!
ネーミングセンスに心奪われると同時に、自分の勉強不足を恥じ、その注目すべき路線について見識を深めなければと考えていたところ、ある方から1枚のレコードをいただきました。
それが森新一さんと青江三奈さんによる強力なカップリング・アルバム。
まさに私の新たな研究対象となった「ため息路線」の生きた教材です。

中を見れば、「湯の町の女」、「新宿サタデー・ナイト」といった火傷しそうな曲名がずらり。
またジャケットには「パーフェクト・サウンド」という文字が燦然と刻まれており、自慢のサウンドを早くアンプリファイしろと私を煽っているようです。

というわけで、森新一さんと青江三奈さんの2人は今、私の机の上で濃密な存在感を放ち、部屋の空気を支配しています。




2000.7.13
愛しの防災無線2


先日取り上げた三陸の防災無線。恐らく今日も地域の方々に様々な不思議情報を発信し続けていることと 思われますが、掲示板に [らんぜさん] から寄せられた情報によると、宮古市の隣、山田町では「ウニの口開け」情報や「健康音頭」といったものも放送されるとのこと。
同じ防災無線でも地域によって使い方に工夫がうかがえますね。

「口開け」とは一般に漁場等の解禁のことを指しますが、この言葉に馴染みのない方なら、一体なぜ捕獲したウニの口を開けるたびに町中に放送するのかと不思議に思われたことでしょう。

しかし私も「健康音頭」は知りませんでした。
どんなに気持ちが落ち込んでいても、どんなに家庭内の雰囲気が悪い時も、毎日定刻になると必ず町中が音頭に包まれてしまうのですね。




2000.7.17
実写版 鉄人28号


 1960年にテレビ放映された実写版「鉄人28号」が、都内でモーニング・ショー公開中だ。
 巨大ロボットと少年探偵金田正太郎の冒険を描く「鉄人28号」は、63年のアニメ版が有名だが・・・(後略)。

これは15日朝日新聞夕刊9面の記事です。
なんてことでしょう。
テレビジョン社会の黎明期には、このような「実写版」なるものが相当数存在し、例えば私の大好きなあのオバQにさえそれがあったと聞いています。
情報によればこちらは主人公が白いシーツをかぶっていただけにしか見えないとのことで、恐ろしく実験的です。

しかし鉄人28号にも実写版があったことは知りませんでした。
鉄人を実写で表現できるとはとても思えませんが、この記事はその辺についても触れています。
 2メートルほどの着ぐるみが演じる鉄人は、頭でっかちでヨタヨタ歩き、いま見るとユーモラスだ。
いま見なくてもユーモラスですが、実際、紙面に掲載されている不鮮明な写真をよく見ると、犯罪現場に突然鎧を着た武士が入り込んできたような感じになっています。
やはり実写版で仔細に確認する必要がありそうです。



2000.7.24
命がけ!音楽制作


別のチャンネルに記している通り、自分は演劇の中で使用される劇中歌や挿入音楽の制作を行っております。
この秋も道内3ヶ所で上演する芝居がありまして、この土日は私も自宅で山ごもりの状態になって作曲や録音を行っていました。

楽器や録音機材のある私の作業スペースは、防音上閉め切ってあるため室温が異常に上昇し、扇風機だけがささやかに回転しています。
マイクを使っての録音になると、ブーンという回転音が入り込むのでこの扇風機も止めなくてはなりません。
この2日間は記録的な暑さでしたのでそれはもう大変で、こんな時に弾くブルースギターはいつも以上に悲しいのです。

こうした自宅作業で更に苦痛を伴うのが、完成した曲に歌を乗せる作業です。
中途半端な声で歌っても細かなニュアンス等が伝わらないので、できる限り大きな声で録音しようと思うのですが、ここで問題となるのが住宅事情です。加えて、芝居の歌詞というのはどうにも浮世離れしたものが多いために、 大声で歌うことには別な意味でもためらいを感じます。

昨日作業した曲を例に取りますと、歌詞の1行目は「1人の綱渡り」。
別に私が綱渡りになりたい訳じゃなく、単に台本上そうなっているというだけなのですが、しかし隣の家から綱渡りのことを歌う声がそれなりのボリュームで聞こえてくれば、誰でも気味が悪いことでしょう。

そこで今回、車の中で歌を吹き込むことを思い立ちました。必要最低限の電源はシガレットの部分からどうにか取れそうです。
これで郊外部にでも出れば遠慮なく熱唱して録音できると考え、録音機材一式を積み込み出かけたのですが、そこは大東京です。
車を止めてゆっくり歌を歌う場所などどこにもなく、適地を探して車を走らせているうちに自分はいつしか羽田空港の近くまで来ていました。
思えば遠くに来たものです。
しかしここまで来れば、何とか路側に車を止めることはできそうです。
滑走路の脇のとある位置に停車させ、録音機材をセット。そして私は小型マイクに向かって熱唱し始めました。

すると!
向こうから1台のパトカー、そしてカマボコ型をした護送車までが私の車に向かってやって来るではありませんか!(ホントの話)

考えてみますと先日、シミュレーションゲームマニアによる全日空機のハイジャックがあったばかりで空港は厳戒態勢。
そんな中で滑走路近くに停車した車の中で男が小型マイクに向かって絶叫(正確には熱唱)している様は、問答無用で射撃されても文句の言えない危なさですね。

幸い簡単な尋問の末に解放された私ですが、芝居の音作りとはこのように常に大いなる危険と隣合わせにある作業であることをお分かり下さい。




2000.7.29
新曲出来


7月24日に、芝居用の音楽を制作する際の私の工夫を御披露しましたが、作業を開始してから2度目の週末。今日は2度目の部屋ごもりの日でした。
ちなみに先日、ピンギス様から寄せられたお便りによりますと、宇多田ヒカルも布団の中で作曲したとのこと。
私と宇多田ヒカルさんの共通した才能が、思いがけず明らかになりました。

それにしても夏だからしょうがないとはいえ、この土日めがけて気温が上昇する最近の天気は何とかならないものでしょうか。
閉め切った高温多湿の部屋で作業する様は殆ど減量中のボクサーで、音楽を楽しんでいる人にはとても見えません。
少なくとも宇多田ヒカルさんはこんなことは絶対にしていないはずです。

しかし2度の部屋ごもりによって作業は完了しました。テーマは「巡業」。
旅芝居の暑苦しい感じがよく出た大変暑苦しい曲ができました。大変気に入っています。機会があったら聞いて下さい。