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2002.11.29,30 - 12.1
東京


私の母は、どうしたわけか昔からフランスが大好きでした。
音楽、絵、建物、言葉etc.。文化というほど高尚なものとして理解していたどうかは別として、まあ、何となく、しかし心から好きだったようです。
張り切ってNHKのフランス語講座を始めたり(全然モノにならなかった)、手芸で作ったぬいぐるみの猫に謎のフランス語の名前を付けたりしていました。

結局、そのフランスに1度も行くことなく亡くなった母。こうして私がパリにいると言ったらそれはそれは喜んだことでしょう。
というわけで、一連の行程の最後の夜は、母の写真を胸に入れ、凱旋門発シャンゼリゼ経由 パリ散策と洒落込みましょう。

*

  ♪オー、シャワシャワー、オーシャワシャワー、肩まで浸かろうシャワシャワ

これは一体何かと言いますと、私が小学生の頃に流れていた「シャワシャワ」という入浴剤のCMソング。
当時うちにはお風呂がなかったので羨ましさも混じりつつ、気持ちよさそうにお風呂に入っている映像と共に、この音楽が異常に耳に残っています。
それが「Au Chanps-Erysees〜」の替唄だったと知ったのはずいぶん後のこと。
「オー、シャンゼリゼ〜」を「オー、シャワシャワ〜」とは、やって良いことと悪いことがあるというものです。

シャンゼリゼはクリスマスでライトアップされ、それはそれは華やかです。「Au Chanps-Erysees〜♪」
広い歩道には人が溢れており、立ち並ぶカフェなども実にマッチしていてそれは優雅です。
振り返ると凱旋門も光に包まれています。
セーヌ川、オペラ座、ノートルダム寺院、ルーブル美術館・・・。
「ほら、見てごらん」とか、「すごいねー」というくらいしか話しかける言葉もないほどで、きっと母も大満足していたことでしょう。

これで全て終わりました。
飛行機に乗って、日本に着いた時にはもう12月。
さようなら、いろいろな国々!また会いたいものだと心から思います。



2002.12.5
捕獲作戦


新聞・ニュースで話題の、長野県下諏訪町で女性ばかり23人を襲っているサル。
大変けしからんサルであるわけですが、その捕獲のため、町や県警機動隊、消防団、猟友会など約140人が出て、捕獲作戦が開始された模様です。

140人!
テロリストが侵入してもなかなかこれだけの部隊を組織することは困難だと思われますが、特に機動隊の出動には驚きました。
この機動隊にとっては、今年最も気合いの入らない仕事が 年の瀬に舞い込んで来たということになりましょう。

右がその写真。ジュラルミンの盾などを持っていたらどうしようと思いましたが、さすがにそれはないようです。
というより、実はのどかな雰囲気が感じ取れないこともなく、江戸っ子風に言えば、これも祭だということになりましょう。

「怖くて外に出られず医者にも行けない」という、様子を見ていた主婦藤沢さだ子さん(70)の談話が掲載されていますが、機動隊、消防団、猟友会などの方々が140人も集まっていたらサルよりよほど怖いのではという気がします。



2002.12.12
小柴さん


ここ数ヶ月の我が国のノーベル賞フィーバーは、最近はすっかり死語だった「フィーバー」という言葉しか思い浮かばない程の熱気です。
受賞者おお一人、田中さんは今や女性誌にまで「癒し系」として取り上げられるまでになっていますが、私は小柴さんの枯れた味わいが結構ツボに入っています。
田中さんの方に話題が集中しているために、歴代ノーベル賞受賞者の中で、恐らく最も注目されていない人物と言って良いでしょう。

昨日はニュースで授賞式後のインタビューが流れていたので見ていましたら、今後の抱負を問われ、「ないよそんなもの、この歳になりゃあ」と回答されていました。
まあ言われてみれば、あのような御老人に今後の抱負を尋ねるほうも尋ねるほうという気もしますが、しかし「抱負」を「そんなもの」と位置付けた上で、「ない」とキッパリ言い切った人というのを私は他に知りません。
最も教育的でないノーベル賞受賞者としても、記憶に残るはずでしょう。



2002.12.14
忠臣蔵



土曜日の今日は、桜と散歩に出かけることにし、午後3時半、寒さ対策も万全に勇んで出かけました。
しかし10mほど歩いたところで転倒し(転倒したのは桜さんですので念のため)、その拍子にウンチもしたので早速出直しとなり、午後4時に、再び勇んで出かけました。

さて、一昨年、昨年と、幕末時代劇コメディー「ちゃっかり八兵衛」なる作品を上演して幸い御好評をいただいたところですが、その素材となっています大石内蔵助&赤穂浪士の吉良邸討ち入りが、300年前の今日とのこと。
これは興味深い!

というわけで、今日の桜の散歩コースは四十七士眠る泉岳寺の記念行事「義士祭」。
桜にしてみれば、散歩の相手が母から父に変わっただけで随分コースの風情も違うものだと感じたことと思いますが、まあそこは後々言ってきかせましょう。


泉岳寺はやはり大変な人でした。
義士祭のメインイベントは四十七士に扮した義士行列の泉岳寺到着でしたが、そのクライマックス直前に桜さんが大変場違いかつ意味不明なバカ陽気ソングを熱唱しはじめたためにその場を離れざるを得ず、肝心の行列はあまり見ることができませんでしたが、芝居のことなど色々思い出して、とても良い日でした。

  ♪時代は元禄一五年 天下は泰平パラダイス〜

芝居のテーマソングなど口ずさんで夜、2人で帰宅しました。



2002.12.17
駅の構内放送


今朝、自由が丘駅に到着しましたら電車が遅れており、各駅停車・急行・特急等々接続列車も含めてダイヤが乱れています。
どこぞを走行中、電車のパンタグラフにビニール袋が引っ掛かったために緊急停車したとのこと。

まあ電車の遅れはよくある話ですのでそれほど気にもならないのですが、今日はこの事態に駅の係員の方が必要以上にテンパってしまっており、なかなか聞き逃せないマイク・パフォーマンスを見せておりました。

私が駅に到着した時には既に構内アナウンスも異様な緊張感に満ち満ちており、内容も
 「電車にビニール袋が引っ掛かったため緊急停車しており・・・」
と叫んでいます。
ビニール袋が引っ掛かったくらいで緊急停車する電車なら、怖くて乗れません。

そうこうしているうちに、
 「ビニール袋に電車が引っ掛かって緊急停車し・・・」
と変形していくなど、もう何が何だか分からなくなってしまっています。

途中聞いている私も徐々に笑いを抑えることが困難になり、なかなか満足度の高い待ち時間となりました。



2002.12.28
帰省・ツンドラ北海道


久しぶりに帰省しましたが、私が生まれ育った北海道は、こんなにも厳しく過酷な大地だったでしょうか。

仕事を終えて羽田空港に到着した時点で、既にダイヤは札幌の大雪により乱れに乱れており、2時間前の便ですらまだ飛んでおらず、私の乗る便も1時間遅れとなっています。
年末のたて込んでいる時期に1時間遅れは大ショックなのですが、それ以降の便に至っては「欠航」となっており、「飛んでくれてありがとう」というねじれた喜びが搭乗待合室を包んでいます。

ようやく離陸してほどなく、「到着地札幌の現在の天候は雪、気温は摂氏マイナス17℃です。」という機内アナウンスが。
ま・・まいなすじゅうななど!?
それって北海道では普通ですか?私が忘れてしまっているだけでしょうか?

千歳空港に着陸し、地下のJR千歳空港駅で列車を待っていましたら、今度は電車の形をした巨大な氷柱がホームに入ってきました。
全面氷が張り付いた車体。窓も凍って車内がよく見えません。

「こ、これに乗るのか・・・」
一瞬恐怖感がよぎります。
もちろん中は暖かい普通の列車でしたが、何度も途中停車を繰り返しながらようやく目的地に着きました。

駅に到着後、家路につく人々の姿は数メートルも離れると次々と吹雪で視界から消えていきます。その様は、まさしく八甲田山!

一週間といえども、油断していては殺られる・・・。
そんな自然の力を学習した帰省初日でした。