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2004.12.1
精工舎のCM

「CM殿堂」という全日本シーエム放送連盟なる団体の創立40周年記念誌があり、先日、ラジオCM第１号のことを書いた際に、久しぶりに目を通しました。
数年前、某博物館で開催された昭和史関連の講演会「ＣＭ殿堂フェスティバル」にて購入した１冊です。
中を開くと講演会で配付された資料が挟んであり、私が妙に熱心にメモをとっている跡が－。
こういう向学心は仕事にこそ活かしたいものです。


巻末の年表によると、民放テレビ局の開局と同じ1953年、テレビCM第１号に関する興味深い記述があります。
1953･2･1
NTV開局。放送時間は、11時55分～14時、17時30分～21時15分。
テレビCMフィルム第１号は精工舎の正午の時報、30秒。

記述が細かいだけに臨場感満点です。
まさに歴史が生まれた瞬間ですね。で、なになに･･･

35ミリフィルムを裏掛けし、４秒で放送中断。テレビCM放送事故第１号となる。

これはすごい･･･。
CM放送第１号とCM放送事故第１号を一度にたたき出したこの技術者の方こそ、一刻も早く「プロジェクトＸ」で取り上げるべきでしょう。


右は当時の資料から私が勝手に反転して作ったあくまでもイメージですが、テレビジョンなるものから妙な漢字が流れてアレレと思っていたらいきなり４秒でブチッと終わってしまうわけですよね。
びっくりするどころか、地域によっては何かの神様の怒りやたたりだと思ったかもしれません。
幸運にも私は上記の講演会でこの精工舎の当時の（正規の）CMを見ることができたのですが、そりゃあもう、興奮しました。


CMの最後に映るのは、銀座の時計台のボヤーッとした映像。
時代を超えるって、素晴らしいですね。


2004.12.4
とりとおかし

予算時期となり、エックス団の団長・丹羽氏&会長・中原氏の両幹部は業務で殆ど朝方まで拘束される日々。
やむなく、残る一部のエックス団及び愛すべき後輩達と飲みに出ましたら、結局えらい時間になってしまいました。
しかし吐き気がするくらいの仕事量をこなした上で、吐くまで飲むという彼らの魂は、何かと見習うべきものが多いと言えましょう。

開始時刻がそもそも深夜なので、２件目に行くとなると殆どカラオケくらいしか適当な場所もないわけですが、ふと見ると既に客引きとの値引き交渉の最終段階に入っている課内の若手・井上君。
高額のエッチな店相手ならともかく、単価自体が抑えられているカラオケ店相手に何十円単位のディスカウントを引き出しているのには感動を禁じ得ませんでしたが、SPのような体格の彼とおとなしそうな客引きとの交渉は、見た目には交渉というよりカツアゲです。
客引き摘発のおまわりさんが廻ってきた場合は恐らく誤って彼の方を連行していくものと思われます。


ともあれ私達は無事、某店内に入りました。
　いらっしゃいませー。
「えーっと、６人。」
そう言おうとしたその時、カウンターの横に、B級駄菓子がこれでもかと袋詰めされた謎の商品が。
既に飲み過ぎて衰弱している体内に投与するには危険な品ばかりで、なぜこれらがミカンのように袋詰めされてカラオケ店で販売されているのか、全く理解できません。
しかし駄菓子の類は、その包装・デザイン等、全てが自分の関心領域。
思いがけず出くわした駄菓子セットの豊富すぎるラインナップに、私の心は激しく乱れ始めました。
一方で、こんな時間のこんなところで駄菓子を大量購入してどうするという理性もかろうじて働きます。

その時、そんな葛藤を見透かしているかのように、エックス団の副団長・森戸氏がそっと私の肩に手を置きました。
　「楽になれ。」
副団長の目が確かにそう語りかけています。
さらに氏は、その駄菓子パックを長女・桜用にといって進呈してくれました。
桜、駄菓子だぞー！私は赤坂の中心で駄菓子への愛を叫びました。

ちなみに包装の中は、やはり期待通りのラインナップ。
取り出した最初の品からして「蒲焼さん太郎」と全く意味不明の商品名です。
勿論パッケージにはうなぎの蒲焼の写真が堂々と掲載されていることは言うまでもありません。

原材料名を見てみると、
　魚肉すり身、イカ粉、しょうゆ、みりん、砂糖、香辛料、カラメル色素、ソルビット、甘味料（ステビア・甘草）。
ここから"蒲焼"が生まれるのですから、さすが駄菓子の世界。もはやマジックどころかイリュージョンと言って良いですね。



2004.12.11
幽霊注意

　「【注意】の標識は、幽霊が出る地点に設置されているって本当ですか？」
一般の方からのお問い合わせへの対応は役所の大事な仕事の一つですが、自分の担当している道路の構造基準関係にはこうした不思議系問い合わせが案外多く、油断がなりません。
最近はテレビのクイズ番組のネタ探し系が増えてきており、「フジテレビから電話でーす」とかいう場合は120%「トリビアの泉」さんからのお電話です。
「へぇー」と言って頂くのも大変な準備が要るのですね。

で「幽霊注意」ですが、こちらも某テレビ局の某番組のスタッフの方からの問い合わせです。
忙しさとも相俟って、十分内容も確認しないまま、とりあえず出演の依頼までお受けしてしまった私。

しかし後日送付して頂いた番組の企画書を見て、私の体に電気ウナギに激突した時のような衝撃が走りました。

　テーマは心霊現象。
　調査対象はとある事故多発地点と当該地点に立つ標識。
　そして標識と霊現象との関係について答える国土交通省担当者。
こ、これは･･･。
番組は高視聴率を誇る人気番組。
その中で「標識と霊現象の関係」などというしょーもないことを、私は一体どんな顔で解説すれば良いのでしょう。
「注意の予告標識は、様々な事由により道路通行者に注意を促す必要があると認められる箇所に設置されるもので･･･」
　　いや、ダメです。堅い。
「そもそも霊は浮いているため自重を計算する必要がなく、道路構造に非常に優しい存在です。」
　無理に両者を関連付けようとして、ほとんど詐欺師のトークです。
収録日は12月上旬･･･。橋本幸、久しぶりの大ピンチ！
妙案が浮かばないまま時が経ち、テレフォン人生相談に電話しかけたその時！「企画自体がボツになりました」との知らせが！

セ～～フ！！
だいたいこんなものが本当に番組として成立するのかと元々本気で不思議だったので、「企画自体がボツ」という衝撃の結末も実に理性的と感じられます。
こうして私は心安らかに12月中旬を迎えているのですね。



2004.12.19
なまはげ伝導士

あるニュースサイトの見出しが私の視線を独占しました。
「なまはげを正しく理解して」
懇願調のそれは何やら訳あり風でもあり、ここは内容を詳細に知る必要がありそうです。

国の重要無形民俗文化財で秋田県男鹿半島に伝わる奇習「なまはげ」を正しく理解してもらおうと、男鹿市観光協会が27日、初めての「なまはげ伝導士」認定試験を実施する。
なまはげ伝導士！
消防士、看護士、技術士など我が国にも既に様々な資格が存在するわけですが、今後その"○○士"の一翼を、"なまはげ伝導士"が担うわけですね。

鬼のような面をかぶり、うなるような声を出しながら、ぐずる子供や怠け者を戒める伝統行事だが、最近では子供が泣く姿を見た観光客らに「虐待ではないか」などと指摘されることがあり、同協会が企画した。
こうした歴史的行事の類に「虐待」といった現代の物差しを当てることには一般論として抵抗を感じますが、しかしこと「なまはげ」に関しては、実際そう言われても仕方がない要素に満ち過ぎていると言えましょう。
いや、そりゃこんなのが来たら怖すぎますって。

しかし、例えば「技術士」であれば、法に基づく名称表示義務によって名刺等にも「技術士」と明示する必要がありますが、これが仮に「なまはげ伝導士」にも適用された場合、うっかり合格してしまったその日から、その社会的立場に関わらず、一生名刺に「なまはげ伝導士」と明記しなければならないわけですね。

　○○株式会社
　　代表取締役　橋本　幸
　　　　　　　なまはげ伝導士

まるで生き恥でもさらしているかのような雰囲気に、自分で書いてみて思わずゴクリと唾を飲み込みました。
本人も勿論キツいでしょうが、この名刺を受け取った方も、この唐突すぎる記載に動揺を隠しきれず、商談等の際も大いに支障になることでしょう。
老婆心ながら、「表記義務規定」を設けないことが、この「なまはげ伝導士」の裾野の拡がりを促すと断言できます。



2004.12.24
Rolling伶

今日も0歳の伶の世話（のようなこと）をしていた長女・桜が大声で叫んでいるので何事かと思ったら、ベッドの上で伶が寝返りを打ってうつぶせになっていました。
ここのところ体をウニウニさせてトライアルを繰り返していた伶でしたが、どうやら成功したようです。

もっとも、では喜んでいるかと言うと、まだ自分で元に戻れぬため、床面を見つめ、眉間にしわをよせて固まっている伶。
恐らく困っているものと思われます。

行動してみたは良いが壁にぶつかり、「さてこれからどうしたものか。」と立ち止まることが、彼のこれからの人生の中で一体何千回、何万回あることでしょう。
その記念すべき第１回目だ、伶！
そう思いながら、うつぶせになったままの伶をしばらく見て、コロンとまた元に戻しました。


しばらくすると、また必死に回転をはじめる伶。
そう、そうやって何度も何度も頑張って欲しいものです。



2004.12.26
続・なまはげ伝導士

先日記載した「なまはげ伝導士」の件は、局地的に意外な関心の拡がりも見せており、このまま行くと同僚の中から有資格者が誕生してしまうかもと、過大な妄想に胸膨らませる今日この頃です。

一方そうした熱心な議論を通じて今、「なまはげ伝導士」という表記そのものに対する疑問の目が向けられるに至りました。
と言いますのも、橋本は前回の記事の中で「なまはげ伝導士」と表記したわけですが、東北地方の文化に明るいＸ団・前佛氏によれば、伝導士の使命はなまはげの理解の伝搬であり、いわばフランシスコ・ザビエルさんのような存在、即ち「伝道士」が正しいのではないかとのこと。

･･･誠にもっともな御指摘！
無試験で前佛氏を「なまはげ伝導士」に認定すべきではないかと思うほどです。

そのあたりも含め、当資格制度の詳細を改めて探るべく、（社）男鹿士観光協会のホームページ等を網羅的にリサーチしたのですが、結局のところ「伝導士」がやはり正式であったということ以外、その背景等の手がかりを発見することはできませんでした。

ただ、当該ホームページのカウンターは既に１万を超えており、短期間の間に相当の関心が寄せられている模様。
これらの方々は互いになまはげ伝導士を狙うライバルであるとも言え、受験戦争の火蓋が今、きって落とされたのです。