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2009.7.5
フィンガー5


マイケル・ジャクソンさんが亡くなって1週間以上が経ちましたが、その功績と同じくらいゴシップも豊富という状況とも相まって、加熱した報道もなかなか冷却しません。
そこでこの機会に当アワーとしては、我が国のジャクソン5=フィンガー5さんの素晴らしさについても再度確認しておかねばと考えた次第です。

ちなみに上左は、最大のセールス(資料によれば約160万枚)を記録した「恋のダイヤル6700」のジャケット。
ジャクソン5さんに比べて迫力に欠ける、などと言ってはなりません。
それは御覧の通りジャクソン5さんの迫力が過剰過ぎるのであって、フィンガー5さん側に何ら問題は無いことを御理解下さい。


そもそも「恋のダイヤル6700」は、アグネス・チャンさんと並んで、千歳市立高台小学校でイタイケな小3時代を送っていた私にとって危険な大人への1ページです。

「一体彼らの何処が "大人への1ページ"足り得るのか」などと問うてはなりません。
彼らの歌う歌謡曲は紛れもなく時代の先端であり、こっちはこっちで、トモミさんという可愛い女の子相手に初恋の真っ只中。
友人から「ガッツ星人」と呼ばれているような頭のシェイプだった頃(→Click)ですが、ガッツ星人はガッツ星人なりに色々と忙しかったのです。

「明日は卒業式だから!」から始まるこの曲。
 「♪男らしく言いたいけど ドキドキときめいて言えない〜」
うーん、切なすぎる!
考えてみれば自分は小3なので卒業しないのですが、無意味かつ無駄に切迫し、「卒業前に何とかしなければ・・・」という気持ちに追い込まれていたものです。


と、無益に自分の話に踏み込みすぎましたが、大なり小なり全国の小学男子・女子を狂わせたフィンガー5。
「アイドル」という存在もまた大なり小なり作り上げられたモノでしょうし、フィンガー5というコンセプト自体、ジャクソン5さんのいわば二番煎じとも言えるわけですが・・・。

そんな中にあってフィンガー5のあきらさんは、正真正銘、すごい実力と今聞いても思います。
まだまだ洋楽の音源も情報も極めて少ない時代ですが、デビュー前の数年間、米軍キャンプでステージをこなしていたという話も頷けるリズム感と、天性の声のハリ。
あの異様にデカいサングラスのためにキワモノっぽい印象がありますが、ことパフォーマンスに関しては「作り物」という枠を越えています。
 (参考資料:デビュー盤「個人授業(1973=あきらさん小6)」のB面「恋の研究」のイントロ →Click

レンタルCDにマイケル・ジャクソンさんを借りに行っても当分は常に「レンタル中」かと思いますが、全く腐ることはありません。
そのままフィンガー5のコーナーへと移動し、70年代の日本の天才少年の歌を堪能しましょう。




2009.7.12
マッハGoGoGo


御存知の方も多いかと思いますが、東京には都内を放送区域とする「TOKYO MXテレビ」なる放送局があります。
当アワーがかねてより注目してきたテレビ局といえばテレビ東京であり、その番組編成の「突き抜け加減」については既に再三取り上げているところですが(→ほんの一例)、大手キー曲との差別化を図って生き残る−という点で方向性が共通するのか、TOKYO MXテレビの独自性もまた、実に見逃せません。

事前に番組表をチェックする機会もそう無いこともあって、チャンネル操作中に突然、温泉でも掘り当てたような予想もせぬ番組に出くわすことも しばしばです。
そして私は、土曜日の18時30分から「マッハGoGoGo」が放送されていることを知りました。


「マッハGoGoGo」。
絵のタッチや破天荒なストーリーなどが「いかにも」というレトロ感に満ちているのですが、1967年の放送と知って正直驚きました。
そんなに古い作品ともまた思っていなかったので。
資料によれば、アメリカでも「Speed Racer」というタイトルで人気を博したとありますが、確かに67年という時代を考えれば、相当〜に斬新です。

ちなみにYouTubeで検索しましたら多数の映像がヒットし、オープニング曲の一つを取っても30万のアクセスが記録されていました。
皆様も御覧になってみては如何でしょうか。
http://www.youtube.com/watch?v=uyMaZ-CWrI4


冒頭からスネア(小太鼓)の16分音符連続攻撃が「マッハな感じ」を演出し、そこにストリングスが重なって視聴者をいやが上にも盛り上げます。
そこに激しすぎるドラムソロが!
ドラムソロがダン!と終わって、「マッハGo!」というタイトルコールまでに一瞬の絶妙な間合いがあり、これがまたシビれます。

間奏ではキリンの群れを追い抜き、さらに2頭の象をジャンプ一番飛び越えるマッハ号。
どう考えても横によければ良いだけのような気がしますが、恐らく何か考えがあってのことなのでしょう。


ちなみにこの間奏(1:00〜1:12)ではトランペットを中心としたホーンセクションが曲をリードするのですが、その音色そして旋律が、広い草原やジャングルのシーンに異様にフィットしていて、油断しているとグッと来て泣きそうになります。

曲は2番へと移り、立ち乗りでマシンガンを乱射しながら迫る悪者軍団(一体誰が運転しているのか不明)を振り切って、エンディングは夕日をバックに砂漠を走る車群と,それを遠くから眺める中東武装勢力の皆さん。
中東の皆さんの登場により、何かこう、世界を駆けめぐっている感じが強力に増しています。


最後は世界地図上を縦横に走った車列の軌跡がチェッカーフラッグへと姿を変え、主人公・剛さんがマッハ号からヒラリと飛び降りた瞬間、ストップモーション。
そして90度視点を振って終了します。
最近でこそ、CMや音楽PV等で人物の動きをストップモーションとして停止させた上で、視点を同心円状に回転させ、風景も含めて連続的に追随させる手法を良く見かけますが、 要はそのアニメ版。
アニメーションのコマ数/秒も多くない時代だったと思いますが、動きは自然で、非常に斬新な処理として成功しています。

*

このようにオープニング曲は危険なほどの魅力に満ちているのですが、一方、実際のストーリーや登場人物、挿入音楽等となると、そこはやはり1967年という時代。相当なもんです。
主人公・三船剛さんのガールフレンドであるミッチーさんも、かなり鬱陶しい自己主張とネットリした話法とが相俟って、あり得ない感じでストーリーに絡みます。

しかし最大にあり得ないのは、他でもない「道路」の描かれ方。
テーマの性質上、車の描写に重点が置かれるのは仕方ないとしても、一車線の幅が10mはあろうかという道路など、「そんな道 あるわけないだろう」と突っ込みたくなる道路ばかり。

以前私は道路構造令という政令の改正を担当していましたが、事前にもう少しマッハGoGoGoを見て、道路空間の持つ色々な可能性について研究しておくべきだったと悔やまれてなりません。




2009.7.15
YouTube - 「D28USER」さんの「太陽にほえろ!」


前回の記事でも活用した「YouTube」。
最近では、イギリスのオーディション番組に登場した48歳のご婦人の美声がYouTubeにより一挙に世界中へ拡大して話題になりました。
アクセス数の多寡を問わず、とにかく天文学的な数の動画が収納されているのですが−

そのYouTubeに、世のギター弾きの皆さんが、自画像ならぬ「自演像」とでも言ったら良いのか、そういう"プライベート動画"をアップしていらっしゃるのを御存知でしょうか。
プロの方からアマチュアの方まで、ご自身の演奏の模様が地味に相当な数でアップされています。
マニアックと言えばこれほどマニアックなコンテンツもそうなかろうと思われますが、何かの拍子にそうした動画に辿り着くと,さすがに興味深く、「おー」とか「へー」とか言いながら結構楽しく見たりしています。


と書いておりますのも、実は先々月、当アワーを御覧頂いた方から
 「太陽にほえろ練習させて貰ってます。」
という丁寧な書き出しで始まる一通のメールを頂きました。
ここで言う「太陽にほえろ」とは、当アワーの開設当初に3ch・ギターのページにアップした、同番組オープニング曲のソロギター用アレンジ(→Click)のことなのですが
 ところで自分は練習の記録としてYOU TUBEへ動画をUPしてます。
 そこにUP可能でしょうか?
可能も何も、大変光栄な話。
わざわざご連絡いただいたお礼と共に、「楽しみにしています」と添えて返信してから約2ヶ月。
一昨日、この方から、アップしたとの御報告が届きました。

ご謙遜を交えながら御報告でしたが、アップされた演奏を拝見しますと、どうしてどうして素晴らしい。
このようなイイ加減なアレンジを、よくコピーして弾いて下さったもので、嬉しい限りです。

皆様も是非一度、「D28USER」さんの演奏を御覧になってみて下さい。
http://www.youtube.com/watch?v=Yr5e9tbfV10&feature=channel_page




2009.7.19
オリエンタルカレー−完結編


先月、各地の"名古屋弁マスター"の皆様の御協力により、早期にその全貌を把握するに至った「オリエンタル・カレー」を巡る諸疑問。
(5/17「オリエンタルカレー」 →6/14「名古屋弁」 →6/15「名古屋弁の魅力」

おかげで机の上に飾っていたオリエンタル・カレーも ようやく心穏やかに眺められると思っていたところ−
都内にお住まいのK子さんから、お中元としてオリエンタル・マースカレー及び同マースハヤシのセットが届きました。
そして、添えられていた手紙には
 "このカレーは食用です。観賞用ではなく、食べて楽しみましょう。"
という趣旨のメッセージが。

わざわざ「レトルトカレー=食用」と確認されるとは、何となく牛乳=飲用と確認されている文明開化時の人々のような情けなさですが、 確かに食用としてこの世に生まれたオリエンタルカレーを、その歴史的価値に重きをおいたとは言え、単に鑑賞しているとは愚の骨頂であります。
さあ、大いに食べましょう!
*

しかし、ここで若干の問題が。
それがオリエンタル・マースカレーのパッケージに漂う、「時間が止まった感じ」です。

昔から慣れ親しんでいる方ならともかく、オリエンタルカレー・ビギナーの私には、この突き抜けたレトロ感が、例えようのない怯えとなって襲ってきます。
「味の秘密」らしい「マースチャツネ」なる調味料も 聞き慣れぬにも程があり、「想定外の味」に対する不安は増すばかり。

恐らくこうした潜在的な恐怖感が、私をして自動的にマースカレーを観賞用として位置付けさせたことは間違いありません。

しかし今般、私はK子さんのお中元によって、青コーナーの際まで追いつめられました。
そう、オリエンタルカレーは、あくまでも食品なのです−




上の「オリエンタル坊や」による段落分けは、私がオリエンタル・マースカレー及び同マースハヤシを温めて食べた時間の経過を意味します。
そして、オリエンタル・マースカレー及び同マースハヤシは、最高に美味しいカレー及びハヤシでした。

くだらない先入観で観賞用と位置付けて本当にすまない、オリエンタルカレー!
激戦のカレー市場で、失礼ながら全国区とは言い難いとしても、一方で決して死滅もせず、よく生き抜いているものと本当に感心します。
そういうところが名古屋人の文化ってことなんでしょうか。
CMでも「みんなウッハウッハ、ウッハウッハ喜ぶよ」と言ってますし・・・。


そこで考えましたが、そもそも我が国のレトルトカレーのシェアって、どうなってるんでしょうかね。
地域性という点で何となく似たイメージを持つのは、沖縄のオリオンビール。
早速調べてみますと、Wikipediaの記述によれば、
日本のビール大手5社(キリン・アサヒ・サッポロ・サントリー・オリオン)中のシェアは0.9%と圧倒的最下位だが、沖縄県では最大のシェアを誇り、いわば「県民ビール」として定着している。沖縄県内シェアは、55〜56%。
とのこと。うーん、すごいぞオリオンビール!

そして更に検索を進めてみましたら、家庭用カレーの「市場占有率」2005年版なるデータがヒットしました。
1位:ハウス(61.7%)
2位:エスビー(28.6%)
3位:グリコ(9.1%)
厳密にレトルトカレーのデータとは多少異なるとは思いますが、100から引き算しますと、、、えーっと、、、え!? 0.6%!!
そんな隙間の中で、オリエンタルカレーは何十年も生き抜いているのですか・・・!?


これは驚きを通り越して、もはや感動と言って良いでしょう。
さあ聴きましょう、もう一度あの歌を!

私はいま、「♪オリエンタルの謎を秘め〜」という歌詞の意味がついに分かりました。
この生命力を 「オリエンタルの謎」と言わずして何と呼びましょう! →「オリエンタルカレーの唄」の詳細はこちら


というわけで、普段考えもせぬことを調べるのは実に楽しいことですね。
ありがとうオリエンタルカレー、そしてK子さん!!




2009.7.25
ガンダムと鉄人28号


お台場にいま、ガンダムがいます。
「機動戦士ガンダム」の放送30周年を記念して作った実物大のガンダムが、お台場にお目見えしたというニュース。
話題性は十分であちこちで取り上げられていましたので、御存知の方も多いかと思います。
夏休み中=8月31日までいるようです。

30年前というと自分は中3。「機動戦士ガンダム」は全く見ておらず、自分自身はガンダムさんに特段の思い入れが無いのですが、それでも18m実物大のロボットはやっぱり相当なインパクト。
これも都心に置かれると周囲の高層ビルの中に埋もれて札幌の時計台のような佇まいとなってしまうところ、 お台場という地点のチョイスも良いため、存在感が損なわれません。
一方で、デカいロボットといえばガンダムさんではなく鉄人28号さんの自分としては、どこかに鉄人の実物大が現れないかと思ったりもしたもんです。


それから1ヶ月が経ち、そんな妄想も忘れかけていた金曜の午後。
読売新聞の夕刊を読んでいましたら、目を開けたまま顎の溶接手術を受けている人の写真が掲載されています。
熱くないのだろうかと思ってよく見ると、人ではなく、鉄人でした!

阪神大震災で大きな被害を受けた神戸市長田区の商店主らが「震災復興のシンボル」として期待を寄せる「鉄人28号」の巨大モニュメント(高さ18メートル)の組み立て作業が27日から、JR新長田駅南の若松公園で始まる。9月末に完成予定だ。−記事より

鉄人28号をお描きになった故・横山光輝さんが同市出身ということから、このような展開になったとのこと。

神戸市の震災復興とヒーローものと言えば、以前市役所を訪問したウルトラマン一家の記事が頭をよぎりましたが(→05年2月:ウルトラマンの苦悩)、 今回はあのような悲劇に至らず済みそうです。


鉄人28号はまさに「重厚長大」時代の産物という感があり、だからという訳でもないのでしょうが、全体的に精巧さや緻密さとはやや無縁な「大味さ」が漂っていて、そこが魅力です。
なんてったって鉄人を操縦する正太郎君のリモコンからして、鉄の箱に棒が2本という、本当にそれで地球は守れるのか?という簡素さ。
他に例えようもないほど低精度と思われるリモコンですが、それであの鉄人が行ったり来たりするのですから危険極まりありません(しかも正太郎君は小学生)。

顔もツルッとして細かなパーツがなく、細部にわたるまでガンダムさんとは大違い。
ちなみに「地球上には全く同じ顔をした人間が少なくとも3人いる」などと言ったりしますが、私には鉄人28号さんに良く似た顔の上司がおります。

それはそれとして、実物大・鉄人28号さんの大きさは、奇しくもガンダムさんと同じ18mとのこと。
楽しみですね。


なお、新聞記事の写真は原田拓未さんという方の写真。素晴らしい写真にしばし魅入ってしまいました。
溶接作業をしている左の方。思い入れがあるのか、単に仕事と割り切ってやっているのか、この写真だけからは伺い知れぬところがまた素敵だと思います。