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2011.10.2
続・職場の売店考


前回の記事で、「また明日」と書いてから1週間が経っていますが、ほぼウィークリー化した当アワーとしては、事実上の翌営業日ということで御理解下さい。

さて復習しますと、話は庁舎内のクリーニング店、東宝舞台株式会社です。
一聴して、舞台芸能関係を想起させる名前。
無防備にYシャツやスラックス等をクリーニングに出しに行って会社名を見てしまい、「こんなつまらない一般ピープルの衣類を出して良いのだろうか」と卑屈になる方すらいらっしゃいましょう。
ええ、私なら確実に怯みます。そして、舞台衣装っぽい衣類に絞ってクリーニングに出すことでしょう。いえ、勿論舞台衣装っぽい衣類など持っていないのですが。

ともかく東宝舞台について調べるため、東宝舞台(株)のHPを見てみました。
「東宝舞台」 は、昭和7年(1932年)、東京宝塚劇場の開館にともなって産声をあげた「東宝舞台部」がその母体です。
レビューの舞台美術に始まった私たちの仕事は、帝国劇場・日本劇場・有楽座など、東宝演劇の発展とともに、いろいろな種類の舞台を手掛け、技を磨き続けてきました。
「東宝」が「東京宝塚」の略称であることは、当アワーの読者の皆さんには先刻ご承知のことと思いますが、「帝劇」「日劇」といった名前の登場に心躍りますね。
一方、その栄光の東宝舞台(株)がなぜクリーニング業を?
舞台衣裳のクリーニングは、やや特殊なものですが、当社は最新のプラントと熟練した作業員を擁してこれに対応しています。
特に舞台衣裳等はもともと汚しの入った物など、特殊なものが多く、舞台衣裳に精通した熟練のスタッフでないと丁寧な仕上げが出来ません。
分かります、分かりますとも!私も舞台人のはしくれとして、その大変さは身に染みて分かっているつもりです。
そしてその特殊技能が一般展開し、クリーニング業を営むに至ったということなのですね。

と過度な思い入れを投入しながら読み進めていくと、最後に以下のような記述が!
舞台衣裳に限らず、一般向けのクリーニングも丸の内にあります合同庁舎2号館に出店し、クリーニング事業を展開しています。
海上保安庁・消防庁等からもお仕事を頂き 御満足頂いております。

なるほど・・・海上保安庁、消防庁ともにその制服は、東宝舞台(株)にとって、舞台衣装と同質の崇高なもの−そう位置付けていると解釈できます。
そして海保は国交省、消防は総務省の組織であり、両省が入居する庁舎に東宝舞台(株)クリーニング部が出先を構えるのは、歴史の必然だったのですね!

というわけで、舞台、海上保安・消防、クリーニングという、無縁にも程がある三者が自分の庁舎内で出会っていることに、大変盛り上がっている私です。



2011.10.10
景品考


朝刊を読んでいたら、中ほどのページにチロルチョコの全面広告が載っていました。
御存知の方も多いかと思いますが、このチロルチョコ、コンビニ取扱バージョンはバーコード記載が必要なためにサイズが大きくなって"20円化"しているものの、本来的な価格は未だに10円です。

10円という商品単価を考えると、この全面広告の費用対効果のほどは・・と他人事ながら心配になりますが、何でも発売50周年なんですって。
なるほど、それであれば短期的な商品価値も上がり、攻めの宣伝も頷けます。
そう思って更に良く見ると、「2012年はチロルチョコ50周年です!」と、それが来年であることを示す記述が。

うーん、「○周年記念」という行事は、ほぼ自動的に「単年度の行事」を前提としているものと思っていましたが、これを2カ年に渡って活用することにより、商品単価(10円)は据え置きでも「(費用対効果上の)効果」)」に最大2倍の量が見込めます。
さすがチロルチョコ。掟破りとすら言える攻めの宣伝ですね。


ところで左図はこの50周年を記念したグッズなのですが、さて一体なんでしょーかっ?
私自身、ただのチョコレート商品の写真かと思っていたら、横に「チロルチョコ親子寝袋プレゼント」とあり、これが寝袋であることが分かりました。
縮尺が全く不明なために、違和感満点といった風情です。

寝袋が使われる一般的なシチュエーションと言うと、キャンプや山小屋、最近では頻発する災害時の寝具等でしょうか。
いずれの場だったとしても、その中にこの2本が横たわっている図。さらにこの袋に出入りしている自分の姿などを想像すると、なかなか勇気の要る一品と言えます。

私?ええ、勿論応募します。

とか何とか考えながら、夜、何気なくテレビをつけたらブルース・ウィルスさんの「ダイ・ハード」の第1作目が放映されています。
殆どのシーンがCGで作製可能な昨今、生身の人間の限界を超えたアクションシーンは、映画を殆ど観ない私ですら何だか有り難いもののように思われました。

と、そのアクションシーンの真っ最中に、テレビの映画枠ならではの無粋な「プレゼント情報」が字幕スーパーで割り込んで来たのですが、 これが「番組特製タンクトップを25名様にプレゼント」という意表を突いたもの。

要はブルース・ウィルスさんが着用している露出度の高いタンクトップを模したものと想像されますが、これを特製しようという企画や、特製する作業、そして特製のタンクトップに応募し、当選して着用している特製な姿等はどれもなかなか味わい深く、しばし特製タンクトップに想いを馳せる時間を過ごしました。

私?ええ、勿論応募しません。




2011.10.29
王様


私は1週間の総テレビ視聴時間が1時間にも満たないくらい殆ど家でテレビを見ないので、たまに見ると短い時間でも結構盛り上がり、大変満足します。

本日ふとテレビをつけてみましたら、アジアのどこかの国のものと思われる時代劇風のドラマをやってました。
いったい何のシーンかは分からないのですが、王様と思われる方が中心にいて、周囲の人間達が「王様」、「王様」と、いくら何でも呼び掛け過ぎではないかと思うくらい、やたらと王様に呼び掛けています。

「うーん、王様っていうのも楽じゃないなあ」などと思いながら見ていたのですが、ある瞬間、私の頭の中が、60年代のとあるラジオCMの方面へと切り替わりました。
当アワー2chに掲載の通り、昔から60〜70年代のシングル盤の世界をこよなく愛している私ですが、関連分野として戦後のラジオ番組やCMの類にもまた、大いにやられています。
いや、ホントにそれらは、ちょっと他に似たようなものが見当たらないくらい、空恐ろしい魅力を秘めているのです。

そしていつだったでしょうか、例によって過去の音源を集めては片っ端から聴いていた時期に耳にし、心身ともに震撼したのがこのラジオ番組のオープニングです。
「お・う・さ・ま・・・、あなたのお好きな言葉でしょ?」 
いきなり決めつけて囁く 御年輩の(とおぼしき)女性。
お好きも何も、わたしは「王様」という言葉が好きか否か自体を考えたことがありません。

しかもこの御年輩の(とおぼしき)女性、「好きですか?」と尋ねているのですらなく、謂わば当然の事実を見透かしてやったとでも言わんばかりの言いっぷり。
これを聞くと、もしかすると世の殿方は皆さん「王様」という言葉がお好きなのだろうかと、どうでも良すぎることが不安になってきます。

それにしても、単なるガスライターのCMに過ぎないのにこの凝りよう、一体どこを歩いているのかと思うような靴音のエコーのやりすぎ感、トランペットの響き・・・。
もう全てが良すぎて、王様好きだと思われようが何でも良いという気持ちになるのです (←あくまで物の例えですので念のため)。