Jazz / Introduction
11PM
 ねずみ算さんからの手紙と「引退した無名の音楽家」さんからの譜面
 
Jazz / 11PM(ねずみ算さんからの手紙と「引退した無名の音楽家」さんからの譜面)

2004年4月7日、掲示板に「ねずみ算」さんという方から書き込みを頂きました。
下はその書き込みの導入部です。
たまたま貴サイトを拝見し、11PMの演奏者にそのコピーを見せたところ、次のようなメッセージがありましたのでご紹介します。
・・・え?!
11PMのテーマを実際に演奏された方からのメッセージ!!??
そんなことがあり得るのでしょうか!?
11PMのテーマは、以前より1chで取り上げ、Live版ハシモトコウ・アワーでも実演するまで私が入れ込んでいる歴史的名曲ですが、それを実際にプレイした方からメッセージをいただけるとは・・・。

以下、全文を引用させていただきます。
11PMは、「光子の窓」などミュージックバラエティの草分け的番組を作られた名ディレクター井原忠高氏によるもので、 自らもベースの名手でもあり、ジャズ・ポピュラーに詳しい氏は、新しいタイプの番組のテーマミュージックにふさわしい 作曲家として、当時新進気鋭のアレンジャー三保敬太郎氏に白羽の矢を立てたのです。
なるほど、なるほど。
当時はスウィングルシンガーズのスキャットがやっと耳に入るかどうかという時期でしたが、いち早くスキャットを取り入れ、 当時としてはまさに画期的なことで、新しいタイプの番組にふさわしい、期待にたがわぬテーマだったと思います。
その才能豊かな三保氏の早世はまことに惜しまれたものです。
モノの本でしか読んだことがない私などが言うのもはばかられますが、全くもってそう思います。

録音時のこと。
この種のレコーディングはご存じのように、その場で譜面が渡され、何回かのテストの後、本番に入りますが、 お聴きのようにかなりアップテンポですので、さすがのベテランプレイヤーたちも、そうとう必死だったようです。
なおオリジナルではピアノはなかったように思います。ピアノの三保さんは指揮をしていましたから。
一時間ほどでレコーディングは終了したと思いますが、オープニングとクロージングはそれぞれ通しで演奏しています。
コーダの別録りはしていません。技術の方で、後で切り張りしたかどうかは分かりません。
ピアノの三保さんは指揮をしていた等々の記述は、さすがに臨場感がありますね。

コーダの別録りの件(→参照)は、私が聞く限り、クロージングの方を切り張りしていることで間違いように思うのですが、 少なくとも現場では双方を通しで演奏していたということも分かりました。


ところで、メッセージの最後で、
ちなみに、声の演奏者は二人ともれっきとした「まじめな」クラシックの歌い手です。
ですから、低俗感を増幅させるとありますが、このテーマソングでその低俗化をむしろ浄化していたのではないかと密かに自負しているところです。
と書かれてありました。

これは私が
「ゴージャスに仕立てようという意図は明確にうかがえるのですが、 『シャバダバシャバダバ』という男女コーラスがむしろ低俗感を強力に増幅させています。」
と書いたことに対するコメントで、実は読んだ瞬間、失礼なことを書いてしまったかなという思いがよぎりました。
しかし、それでも敢えて聞き手としての思いを素直に述べさせていただくなら、この『シャバダバシャバダバ』が感じさせる何とも言えない"猥雑さ"のようなもの自体が、この曲の、 この番組の最大の魅力ではないかと思うのです。

そして、お手紙の最後にはこうありました。
レコーディングの後はほとんど聴いていませんが、記憶を頼りに譜面にしてみましたので、ご希望があればお送りします。ただし、コードまでは分かりません。
希望しない理由などどこに存在いたしましょう。是非ともお願いする所存であります。
そして、こんなHPのことを演奏者の方に御紹介いただき、掲示板にメッセージを転記して下さったねずみ算さん、本当にありがとうございます。



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4月23日、郵便が左の楽譜を届けてくれました。

私はギターを拾ったのが楽器を始めたきっかけになってるというくらいなので、今もって楽譜が読めません。

英語で 「楽譜なしで演奏する」 は 「play without music」。
即ち「楽譜」は「music」とも訳されることになるわけですが−
多少強引かも知れませんが、自分にとって、確かに左の楽譜は、それを読めようが読めまいが、音階や調子、速度などの情報を伝える単なる記号にとどまらない、 11PMという「music」そのものであるように感じられます。

もちろん本当は「感じられる」わけでも何でもなく、その時代に勝手に想いをはせ、熱気を想像しながら勝手に感じている訳ですが、 想像力の乏しい私にさえそう感じさせてしまうという点で、この1枚の楽譜は、「music」どころか、 「music+それを含む色々な何か」ということになりましょう。


そして左肩の「引退した無名の音楽家」というクレジット。
目にした瞬間、なんだかカッコ良くて泣けてきました。

いま一体おいくつになる方なんでしょうか。
当時20才なら60才くらい、30才なら70才くらい、いずれにしてもそれなりのお年をお召しのはず。
加えて、当時からこんな音楽シーンの最前線にいた方が、本当の意味で「無名の音楽家」の私のために、 よくも1枚の譜を起こして下さったものだと思えてなりません。


この譜を送って下さったのは、「引退した無名の音楽家」さんの御友人の「ねずみ算」さん。
同封していただいたお手紙の文面は、この間に色々と執っていただいた労に対するコメントなど何一つなく、只々、「無名の音楽家」さんの 人柄を伝えて下さっており、これがまたジーンとくるわけです。

そしてねずみ算さんのお手紙は、以下のように結ばれていました。
「橋本さんがお生まれになったのが東京オリンピックの年だそうですが、11PMの録音はその翌年、私が高2の時でした。」



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