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Bluegrass駅伝的アルバムレビュー「Bluegrass Times」
 
駅伝的アルバムレビュー「BluegrassTimes」 / 越田久崇 -banjo-

The Bekshire Mountains Bluegrass Festival
A1. Sitting On Top Of The World / Harley Allen & Mike Lilly Band (1984)
2. High On A Mountain / Del McCoury & The Dixie Pals(1980)
3. Shady Grove / Don Stover(1977)
4. Ladies Fancy / Dan Crary(1980)
5. Live & Let Live / Don Reno & The Tennessee Cut-ups(1982)
6. Rabbit In The Log / Jimmy Martin & The Sunny Mt.Boys with R.Stanly
7. Train 45 / Bluegrass Cardinals (1977)

B1. It Turns Me Inside Out / Seldom Scene(1984)
2. My Favorite Memory / Osborne Brothers(1984)
3. Whiskey / Ralph Mayo with R.Stanly & The Clinch Mt.Boys
4. Cold & Windy Night / Johnson Mountain Boys(1984)
5. Free Mexican Airforce / Peter Rowan(1984)
6. Shenandoh / Charlie McCoy(1980)
7. Orange Blossom Special / Charlie McCoy Jam Band(1980)

C1. I Will Survive / Spectrum(1980)
2. Jerusalem Ridge / Blaine Sprouse with Osborne Bros.(1984)
3. Wait A Minutes / Jonathan Edwards with Seldom Scene(1984)
4. I Don't Believe You've Met My Baby / J.D.Crow & The New South(1977)
5. We Can't Be Darlings Anymore / Red Allen(1976)
6. Hobo Joe / Allen Brothers (1976)
7. Panama Red / Peter Rowan Jam Session (1976)

D1. Old Fashioned Preacher / Sykes Boys (1984)
2. Children Go Where I Send Thee / The Whites & Ricky Skaggs(1980)
3. Get In Line Brother / Jimmy Martin & Sunny Mt.Boys(1980)
4. Jordan's Over Yonder / The Lewis Family(1984)
5. Oh Death / Ralph Stanley & The Clinch Mt.Boys(1977)
6. Sandy Land / The Whites & Ricky Skaggs(1980)
7. We'll Meet Again Sweetheart / Don Stover & Sykes Boys(1982)
Produced by : Nancy Talbott
Label/No etc. Pigeon Roost Records 0001
お買い求め情報 お茶の水の有名レコード店で高校時代に購入。CD化は難しいか・・・。
中古盤を根気強く捜すか、ちょっと上の先輩などに持ってないかどうか聞いてみて下さい。
備 考 フェス!フェス!!フェス!!!

The BERKSHIRE MOUNTAINS BLUEGRASS FESTIVAL (1976-1984)

こんにちは、越田久崇と申します。北大OB関係者多い中で、外様で恐縮です。1994年慶應義塾大学ブルーグラス学科卒業です。宝塚フェスでお会いした、いやお邪魔させていただいた(お酒をいただいた)北大の皆さん、ありがとう。

さて本題、このフェス・アルバムはどの程度 世の中(いやとりあえず日本のBG界)で出回っているのでしょうか?少なくとも神戸大の同期のA井君はダビングテープを偶然もっており、いいよね、いいよね、と共感したアルバムであります。

皆さんそれぞれブルーグラスの楽しさを寄稿されておりますが、なんといっても楽しさの点でこのアルバムは格別のものがあるのでは。この曲目、アーティストリストをどうぞご覧ください。
あー、フェス!、フェス!!、フェス!!!
(ここはブルーグラスフェスを知らない人も見ているのでしょうか?その紹介はまたあらためて。)

たまたま幼少よりブルーグラスを知ることとなってしまった私は、またたまたま家にあったボブ・アーティス著「ブルーグラス」を中学時代に手にし、そのフェスについての章・記述に憧れをつのらせていました。そして高校1年、始めたてのバンジョーとテントを担いで一人で行った箱根フェスのインパクト、まあ、それ以降すっかりこの世界にどっぷり、抜けられなくなってしまったのでありました。そのほぼ同時期に入手したこのアルバムはそんなフェス(日米の差はあるが)の魅力が満載の、そう、私の現初ブルーグラス体験を思い起こすに充分なレコードです。(なお、その他に有名なビーンブロッサムや、スタンレーのマックルーアなどの70年代のそれぞれ2枚組フェスLPにもはまりました。これらはCD化もされているし有名なのでお持ちの方も多いでしょう。)

では聴いてみましょう!(長くなるかも、すみません)
1曲目、ハーリー・アレンの絶妙のブルーグラス・シンギング、そしてなによりマイク・リリーの「おりゃーっ!」というバチバチ・バンジョー、まずは、「プシュー!」とビールの栓でも抜きましょう。一気に飲み干した後で、デルのハイロンサム・サウンド、ドン・ストーバーの弾き語りと続きます。なにかツマミの袋を開けましょう。ダン・クレアリーの超絶ソロ・ギターに続くは、ドン・レノ様、なんなんでしょう?このヘロヘロ・サウンドは?もうなんでもありあり(なお、ドン・レノは前述のマックルーアのほうがグシャグシャ感で上)、ラルフがジミーとデゥエットして盛り上がります。A面最後はトレイン45、なんでしょうか?この固まりのようなリズムは。

B面、ジョン・ダフィー、オズボーンの貫禄のステージングで始まります、さてそろそろハード・リカーに切替えますか。そう次ぎのスタンレーでのチャーリー・サイズモア唄うところの名曲「ウィスキー」に合わせて。たぶん、このころまだ20代前半かと思うこのチャーリーは前任の天才キース・ウィットリーにまさるともおとらない渋さがあります。ワシントン・グラスのパイオニアーであるバズ・バズビーのコールド&ウィンディー・ナイトを、その直系かとも思えるジョンソンがコテコテに仕上げたあとは、フェス真骨頂のピーター登場、しまった、テキーラも用意せねば。ここではマーク・オコナーとマーティー・スチュアート、ロイ・ハスキーJrを従えてのステージです。バディー・ブラックマンをギターに従えたチャーリー・マッコイの美しすぎる「シェナンドー」、そしてオレンジ、ここではリッキー・スキャッグスのフィドルも聴けます。

さてフェスも二日目(って、これ実際は録音順ばらばらな寄せ集めではあるが)、C面はスペクトラムから。ベラもこの頃はこんなコテコテなフェスに出てたんですね、カッチョいいです。ブレイン・スプラウスのエルサレム・リッジに続いて、「ウェイト・ア・ミニッツ」をジョン・スターリングではなく、当時「ブルーリッジ」という快アルバムを出したジョナサン・エドワーズが唄います。この人もウマイねー。次、JDによるルービン・ソングは後のスペクトラムとなる、グレン・ローソンとジミー・グッドロウの二人がニュー・サウスに在籍していた時のもの。レッド・アレンという人の録音群はなんとかCD化してくれないものか?私、好きなんですよ、こんなん。ここでのバックは旧友のフランク・ウェイクフィールドにドン・ストーバー。息子ら、アレン・ブラザーズのドライビング・ブルーグラスに続いて、やはり土曜のトリ(って、そうかどうか分からんが)はピーター。同時期のテルライドでも録音あるが、なんかこっちのほうがいいな、聞き込んだ思い入れかもしれんが。

朝までジャムした後、アメリカのフェスでは日曜はゴスペルタイムです。重い頭をフリフリ、ちっとも敬虔ではないが、まずはコーヒーを入れて、サイクス・ボーイズ、ホワイツと通り過ぎ、ジミーの騒ぎでようやく目がさめます。と思ったら、リトル・ロイがそれに輪をかけて、頭にズドーンとバンジョーとゴスペル・シンギング。アメリカでリトル・ロイとジャムをした際に、バンジョーを弾かせてもらいましたが、なんともヘビーなテンションでとても弾きこなせる代物ではありませんでした。一転、スタンレーの念仏、再びホワイツ、そして最後は、定番「ウィル・ミート・アゲイン・スィートハート」、名残惜しくもまたの再会を、となります。

では、みなさん、今年もフェスで!!!

(なおその後、たまたま本フェスの1985年、アメリカのケーブルTVでの録画を4時間分を入手、超極悪映像(ダビングのせい)ながら、やはり夜中にたびたび、チビチビやりながら見入ったりしてしまうのでありました。)

(さらに追記。二枚組LP、そう中ジャケの写真が楽しいです。さあ頑張って捜してみよう。)


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チーフ井上とフォークゲリラボーイズ / 100万回愛してる!!
1. 心の宇宙
2. Can't You Hear Me Calling
3. ゆうべ見た夢
4. セイクレッドソング
5. High Lonesome Talking Beat
6. Blue Moon of Kentucky
7. White House Blues
8. 月がぽっかり
9. Yeah! マスター
10. みんな地下鉄みたいだ
チーフ井上 : ボーカル・マンドリン・コーラス、全作詞、全作曲(2,6&7を除く)
越田 久崇 : バンジョー
南 三朗 : ギター・コーラス
ホルモン山崎 : フィドル・コーラス
石埜 裕幸 : ベース
Label/No etc. CH-001
お買い求め情報 ロッキートップに置いてあります。お茶の水ディスクユニオン1号店やBOMサービスなど主なブルーグラス関係店でも扱ってます。
備 考 セルフ・プロモーションです、ヨロシク!

100万回愛してる!! / チーフ井上とフォークゲリラボーイズ

チーフ井上と初めて会ったのは私が大学3年の頃、同じロッキートップのバイト人としてでした。彼は私と会った時の印象を「こいつとは絶対に友達になれないと思った」とムーンシャイナー誌などで書いてますが、そんなことはお互い様なのでした。

チーフはブルーグラスというジャンルくらいは知ってた?吉田拓郎から音楽に入り、学生時代は作詞作曲同好会(サクサクというらしい)でフォークだかロックだかを演っていた彼にとって、そこロッキートップで聞こえる音楽はやたら早くて明るくてセワシなく、そもそも皆んなおんなじなのでした。この辺りの経緯などはそのムーンシャイナー誌のインタビューでもかいてありましたし、さらには昨年の箱根ブルーグラスフェスのコンベンション優勝「何処へ行く、ブルーグラス」に唄い込まれていましたが、まあなんとビル・モンローというのを聞いてみたい!と言い出すにいたり、私は、それはそれは気合の入った選曲テープをこしらえたのでした。

その後、チーフの弾き語りのライブで私がマンドリンを数曲弾く、ということから始まったと思います。なんとコードが沢山出てくるんだ!どんなリズムで弾いたらいいんだ?、と根っからのブルーグラス野郎であった私はえらく戸惑ったものでしたが、またそれはそれで楽しくもあり、また練習やライブ後にしこたま飲む、というところでは気があったのかな。なんとフルメンバーでのバンドになってしまい、なんとなんとCDを録音しよう!ということになってしまいました。

曲はビルモンのものも含めてみんな日本語です。バンジョーは苦労してます。手書きの歌詞カードにはなんとコードが添えられています。6年間(?)くらいライブやフェスなどでやってきたなかでも比較的初期の曲が多くはいっています。「月がぽっかり」「地下鉄」などは欠かせません。「心の宇宙」「Can't You」はバンドで初めてステージに立った箱根からの曲です。

しかし実際のところおそらくチーフのオリジナリティーを表現するには、このCDはかなりのところの制約を受けてしまっています。なんといってもまんまブルーグラス編成ですから。(その他、予算上の制約というものもある。) ただ、そのライブをやってきたバンドとしてそのメンバーで、その雰囲気で録音を残す、というところにその意義ありでしょう。そしてそれはバンドとして名刺代わりになり、活動にも幅が広がっていきます。関西ツアーなどもやりました。そう本当はライブ盤を作りたい。チーフのMC、ホルモンの汗臭い踊り、2次会での石埜さんの酒乱、そんなものはなかなか出し尽くせないが、まあその一端でもこのCDで感じていただければ。(そら難しい)

そう、宜しければライブ、フェスでお会いしましょう!


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The Kentucky Colonels / On Stage
A1. John Hardy
2. Used to Be
3. Shackles and Chains
4. Durham's Bull
5. Mountain Dew
6. I Might Take You Back Again
7. Bluegrass Breakdown

B1. Flop Eard Mule
2. I Wonder How the Old Folks Are at Home
3. Over in the Glory Land
4. Reno Ride
5. Ocean of Diamonds
6. Bending the Strings
Clarence White : Guitar
Roland White : Mandolin
Billy Ray Latham : Banjo
Roger Bush : Bass
Scotty Stoneman : Fiddle
Sandy Rothman : Rhythem Guitar on A4 & B4
Label/No etc. L20P 1193 , Rounder ??
お買い求め情報 中学時代に横浜の新星堂で日本盤を購入。RounderでのCD化はされてない? 
備 考 1965年頃のアッシュグローブでのライブの寄せ集め、ラウンダー社が数枚出している 内の一枚らしい。

The Kentucky Colonels / On Stage

これは私が自分の小遣いで最初に買ったレコードです。たしかバンジョーを買うちょっと前か?
それまでフラット&スクラッグス、カントリー・ジェントルメン、ドック・ワトソンそしてなぜかナターシャー・セブンを聞いてきた当時にしてはかなり変わった中学生にとってこのサウンドはそれなりの刺激があった筈ですが、印象として覚えているのは、「ビリー・レイはすごい!」とまあ、およそバンジョーにしか耳がいかず、そもそもクラレンスの名声は知ってたものの、ソロギターが比較的少ないこのアルバムはやはり中坊には中々難しいのでした、うーんやっぱりドック・ワトソンのBlack Mountain Rag は世界一だな、などとコンサバだったのでした。(当時、やはりビルモンはまだ聞き込んでなかったので、やはりローランドもなんかモタモタした印象しかなかったのでした、もちろん今では最高の一人だと思っちゃいるのですが。)

このビリー・レイという人、後先いろいろ聞きましたが、どうも好不調のある人、その後 Living In The Pastなど聞いてもどうもイマイチです。もちろんバンジョー弾きである私は価値判断のかなり部分をバンジョー中心に考えますので、結局はカーネルズのベストはいつまでたってもこの盤なのでしたが、またそれはカーネルズに限らず、やがてリズムギターがちゃんとなってるかというのもその次くらいに基準になってきます。

ということで一曲目はJohn Hardy なのですが、バンジョーの4度のコードでのロールでの持って行き方、そしてそれにからむクラレンスのズドーンとしたランを聞いた人は私の言いたいとこを分かってくれるでしょう。あとはオイシイとこだけ抜書きしておきましょう、A面3曲目スコッティーの唄に絶妙にからむギターのバックアップ、Bluegrass Breakdown でのビリーレイ怒涛の2ndブレーク(いや、もちろんローランドもイイんだけどね)、B面2曲目でのやはりスコッティー節でのバックアップギターとこっちではヤカマしいバンジョー・ソロもあり、などなど。

ところでカーネルズについては最近、90分x3本というライブ・テープを入手しました。
これは聞いてみると30分くらいのセットが何本かMCなどそのままで何本か入っているのですがこの On Stage などで発売されているライブ盤の元音源のようで、このJohn Hardy、本当はライブでの3曲目のようです。(一曲目 Fire On The Mountain , 2曲目 Don't Let You Deal Go Down)Alabama Jubilie など計5回、それぞれ違ったバージョンが聞けるという代物、どうせなら
このままCD化もして欲しいのですが、まあこの ON STAGE の曲順にも捨て難いものあるゆえ、それはビルモン等の全集ボックス物が出てもオリジナルLPの曲順に思い入れある人がいる、ちゅうのと同じかな。


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