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Bluegrass駅伝的アルバムレビュー「Bluegrass Times」
 
駅伝的アルバムレビュー「BluegrassTimes」 / 宮本幸治 -bass-

Curly Seckler / Sings Again(1971)
A
1. Moonlight on My Cabin
2. Thinking about You
3. Some Old Day
4. No Mother or Dad
5. You TookMy Sunshine
6. Remember the Cross
B
1. Don't This Road Look Rough & Rocky
2. That Old Book of Mine
3. Worries on My Mind
4. Old Salty Dog Blues
5. What's the Matter Now
6.Sing, Sing, Sing
Curly Seckler : guitar
Tater Tate : Fiddle
Billy Edwards : banjo
Hershel Sizemore : mandolin
John Palmer : bass
Label/No etc. County 732
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備 考

Curly Seckler / Sings Again

確かあれは大学2年の夏、初めて行った宝塚フェスの帰路に立ち寄ったBOMサービスでこのアルバムを購入しました。聴いて衝撃を受けるようなことはないでしょうが、何回聴いてもいつまでも飽きることのない作品であります。そして、これは私がブルーグラスにどっぷりとつかるきっかけとなったアルバムで、いまだに大好きな1枚なのです。よく言われる、「無人島に1枚持って行くなら」という質問に対しては、最有力候補としてこのアルバムをあげましょう。

カーリー・セクラーと言えば、フラット・アンド・スクラッグスでのすばらしいテナーボーカルを真っ先に思い出す人が多いでしょう。しかし、このアルバムでは、何曲かで彼のリードボーカルを堪能することができます。リードボーカルもすばらしかったのですねぇ。
「シングス・アゲイン」というぐらいですから、音楽活動をしばらく休んだ後のアルバムなのでしょうが、ブランクなど全く感じさせません。アルバムジャケットの彼の写真もいい感じです。さて、ここで演奏を務めるシェナンドー・カットアップスは、これまた私の大好きなバンドで、特にマンドリンのハーシャル・サイズモアは私のアイドルであります。
そうそう、彼も数年前に「バック・イン・ビジネス」というアルバムで、しばらくのブランクの後に音楽活動を再開してます。シェナンドー・カットアップスのアルバムも何枚か出ていますので、それはまた別の機会に紹介しましょう。

なにか誉めすぎの感じではありますが、このアルバムのどこが良いのかを自分なりに考えてみると、それは演奏している人たちの音楽を楽しんでいる雰囲気が伝わってくるところですね。この人たちは本当に音楽が好きなんだろうなあ。
私も音楽を演奏する人間の一人として、このような演奏ができればいいなと思 います。
聴いたことがない人は、一聴の価値あり!


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Good Old Boys / Pistol Packin' Mama
1.Ashes Of Love
2.Here To Get My Baby Out Of Jail
3.Long Gone
4.Dim Lights, Thick Smoke
5.Deep Elem Blues
6.Pistol Packin' Mama
7.Banjo Signal
8.Toy Heart
9.Leave Well Enough Alone
10.Too Wise Special
11.On Top Of Old Smoky
12.Barefoot Nelly
13.Don't You Hear Jerusalem Moan
14.Glendale Train
David Nelson : guitar, vo
Frank Wakefield : mandolin, vo
Don Reno : banjo, vo
Chubby Wise : fiddle
Pat Campbell : bass
Produced by Jerry Garcia
Label/No etc. GDCD40122
お買い求め情報 もう廃盤かもしれません。レコードも出てました。
備 考

Good Old Boys / Pistol Packin' Mama

今回はFrank Wakefieldの来日を記念して、Good Old Boysの"Pistol Packin' Mama"を取り 上げます。

ブル研の多くの人たちがそうであるように、私も大学に入学してからブルーグラスを はじめました。もともとギターを弾いていたので、大学ではフォークソング研究会に入ろう と思っていましたし、実際に何度か部会に出席したりもしました。しかしそれは、私の求めている ものとは少し違うなと感じたのです。そんな気持ちでサークル会館内を歩いていると、フォ ークソング研究会の部室の向かいで、なんだか楽しそうに楽器を弾いている人たちがいるでは ないですか。かるい気持ちで声をかけたら、部会に誘われて飲み会で飲まされてやめるにや められなくなって・・・。さらに、ブル研でマンドリンを弾くようになったのは、すでにバ ンジョー弾きがいて、部会で先輩に「おまえはマンドリンだ」の一言で決まったような記憶が あります。なんと消極的な動機でブルーグラスを始めたのでしょう。でも、いまだに弾いて いるんですよねぇ。

このように、決して積極的な気持ちからマンドリンを弾き始めたわけではない私を、ずるずる とその深みに引きずり込んだプレイヤーの一人が、このアルバムで演奏しているFrank Wakefield です。このひとマンドリン上手いです。なんたってDavid Grismanの師匠です。あと、いろい ろな面で革新的なことを行なっています。例えば、人が使わないKeyの曲をかいたり、途中で 拍子のかわる曲を作ったり、ブルーノートのスケールを使いまくったり、"Nilent Sight"(S ilent Nightのこと!)という曲名をつけたり、マンドリンをオーブンで焼いたり、いろんな ことをやってます。奇才といわれるはずです。また、この人の歌声もとびきり変わってい てSmoky Voiceとか言われてます。この人の演奏に対しては、はじめは少し抵抗があるかも知 れません。でも、聴き出すと病みつきになりますよ。

このアルバムの他のプレーヤーもたいへん個性的な人たちが集まっています。Don Renoはシングル ストリング奏法と、Reno & Smilyでの活躍でよく知られていますし、Chubby Wiseのブルージー なフィドルの良さは言うまでもありません。おそらくはJerry Garciaの趣味でこのメンバーを 集めたのでしょう。

さて、このアルバムに収められている曲の半分以上は、Frank WakefieldとDon Renoによるものです。 カーネルズが演奏しているBarefoot NellyもDon Renoの曲だったんですね。全体的にはバリバリ とドライブする演奏という感じではなく、聴き易いアルバムだと思います。ただ、各楽器の ソロパートは、各プレーヤーの個性がぶつかり合い、凄まじいものがあります。

少しはFrank Wakefieldを聴いてみたくなりましたか?
さあ、Frank Wakefieldに会いに時山フェスに行きましょう!


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Herschel Sizemore / My Style
1. Sandy Ridge
2. Joyce's Waltz
3. Amandolina
4. Monroe Country
5. Me‘n' Bauc
6. Lee's ReeL
7. Cotton Eyed Joe
8. Fancy Gap
9. Charmaine
10. Loar's Waltz
11. 2 O'clock In The Morning
12. Monroe's Hornpipe
13. Billy In The Low Ground
14.The Old Brown County Barn
Herschel Sizemore : mandolin
Terry Baucom : banjo
Jim Haley : guitar
Ron Stewart : fiddle
Eddie Biggerstaff : bass
Alan Bibey : mandolin,lead guitar
Label/No etc. Hay Holler Records HH-CD-1354
お買い求め情報 BOMサービスで購入できます。
備 考

Herschel Sizemore / My Style

私のレビューでは古いアルバムのものが続いたので、今回は新しいところから いってみよう。なんたって新譜だし、私も、おととい買ってきたばかりだ・・・ とは言っても、演奏している人は決して若い人ではなく(失礼!)、超ベテランの マンドリンプレーヤーなのでした。見るからに頑固親父といった面持ちのこのおじさん は、マンドリンの演奏を聞いても外見に見合った職人魂といったものを感じることができます。 この人の演奏はとにかくマンドリンの音がきれいです。それはソロをとっている時のみならず、 ボーカルや他の楽器のソロの後ろでカットしている音さえ美しく聞こえるほどです。

ところで楽器の音って弾く人によってまったく違いますよね。なぜなんでしょう。
例えばよく言われる話ではありますが、"Tone Poem"というアルバムでDavid Grismanは いろいろなマンドリンを使用して演奏していますが、どれを聞いても、それはGrismanの音 なんですよね。それは同じアルバムで聴くことの出来るTony Riceの音についても同じです。 Herschel Sizemoreはこのアルバムでロイド・ロアーのマンドリンを弾いています。他にロイド・ ロアーのマンドリンを弾いている人はBill Monroeをはじめ、Frank Wakefield、David Grisman などのその筋の猛者たちがいます。でも、それぞれの人の演奏を聴くとロイド・ロアーの 音というよりは、やはりBill Monroeの音であり、Herschel Sizemore、Frank Wakefield、 David Grismanの音なんですよね。
Herschel Sizemoreの演奏や、マンドリンに限らず他の楽器でもすぐれた演奏を聴くと、 演奏のテクニックというのは、早く弾けるとか、難しいフレーズを弾けるとかということ以外にも、 どんな音を出すかとか、どんなタイミング、リズムで弾くかということがとても大切なんだなと 感じます。またそれがそのプレーヤーの個性となるのではないでしょうか。そして思うに、 よい楽器というのはそのプレーヤーの個性をよく引き出すものなのではないでしょうか。

このアルバムによると、宝くじでも当てないと、とても買えそうもないロイド・ロアーを、 Herschel Sizemoreはなんと4台も持っているそうです。うらやましいかぎりです。 このアルバムに参加しているAlan Bibeyのロイド・ロアーと合わせて5台のマンドリンを 並べて撮影した写真まで載ってます。それらのマンドリンを駆使した美しい音色の演奏 がこのアルバムでは聴くことができます。
内容としては、すべてがインストの曲で、14曲中8曲がHerschel Sizemoreによるもの、 後はトラッドやBill Monroeの曲です。スピード感あふれる曲から美しいワルツまで、 Terry BaucomやRon Stewartなど、実力のあるプレーヤーの好サポートを得て、あくまでも ブルーグラスにこだわった演奏を聴くことができます。マンドリンのインストアルバム ということで誰にでも勧めるわけではありませんが、マンドリン好きの方は買って損は ないでしょう。


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The Lynn Morris Band / The Lynn Morris Band (1990)
1. My Heart Skips a Beat
2. You'll Get No More Of Me
3. Adams County Breakdown
4. Black Pony
5. Come Early Morning
6. Help Me Climb That Mountain
7. Kisses Don't Lie
8. Handy Man
9. What Was I Supposed To Do
10. If Lonely Was The Wind
11. Don't Tell Me Stories
12. Valley Of Peace
Lynn Morris :Gutar,Vocal
Tom Adams :Banjo,Vocal
Marshall Wilborn :Bass,Vocal
Ronnie McCoury :Mandolin
Ray Legere :Fiddle
Label/No etc. ROUNDER CD 0276
お買い求め情報 比較的探し易いCDではないでしょうか
備 考

The Lynn Morris Band / The Lynn Morris Band

高校生の頃にEmmylou Harrisを聴いて以来の女性ボーカルファンだったり します。でもブルーグラスは残念なことに比較的女性ボーカルが少ないで すよね。で、今回はそんな中から大好きなLynn Morrisをレビューします。

Lynn Morrisのなにが好きかって、とにかく彼女の歌声ですよ。聴く人をつつみ こんでくれるような優しい声。どんなときに聴いても良いですが、疲れていて ハードなブルーグラスはチョット・・・という気分の時は最高ですね。あるいは Bill Monroeの8枚組アルバムなんかに挑戦する前後などに聴くと良いかもしれ ません。

このアルバムでは、The Lynn Morris Bandとして、Johnson Mountain Boys からBanjoのTom Adams、BassのMarshall Wilbornが参加しており、タイトな ブルーグラスを演じています。また、Mandolinには若き日のRonnie McCoury、 FiddleにはRay Legereが入っています。ところで、このアルバムではあまり 聴くことができませんが、彼女はBanjoもとても上手で、Winfieldをはじめ 多くのコンテストで優勝しているとのことです。

曲目はRocky Mt. Climbersが演奏していた1、Bleugrass clinic Bandが演奏 していた9(関東以外の方わかりませんよネ)をはじめHazel Dickensの2、 Charlie Monroeによる12など。他にはLynn Morris自作の曲もあり、 選曲もなかなかです。

最後に、残念なことに私は女性ボーカルでバンドを組んだことがあまりありません。 いつかLynn Morrisみたいな人と演奏するのが夢だったりします。 どこかにいません?Lynn Morrisみたいな人。


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