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Bluegrass駅伝的アルバムレビュー「Bluegrass Times」
 
駅伝的アルバムレビュー「BluegrassTimes」 / 西尾あゆみ -bass-

Lonely Old Depot / Petticoat Junction (1993)
1. I'd Miss You
2. I Want To Be Loved
3. What's Good For You
4. Morning Train
5. Bending The Strings
6. My Brown-eyed Darling
7. Out of Sight,Out of Mind
8. What a Change One Day Can Make
9. Weary Day
10. Will My Heart Go on From Here
11. Carolina Cookout
12. I'll Never Take No for an Answer
13. I'm Safely in the Arms of Jesus
14. Lonely Old Depot
Andrea Roberts : Guitar,Bass(11) Vocals
Robin Roller : Banjo, Guitar(11), Vocals
Gail Rudisill : Fiddle,Vocals
Gena Britt : Bass, Banjo(11), Vocals
Special Guests
Dan Tyminsky : Mandolin, Vocals
Kim Gardner : Dobro
Ronnie Bowman : Guiter(5)
Label/No etc. Pinecastle Records PRC 1017
お買い求め情報 現在は入手不可・・・かも。
備 考  

Lonely Old Depot / Petticoat Junction

 これまで登場したみなさんは、第一回目と言うことで思い入れの強いアルバムや、思い出深いアルバムを紹介されていますが、私は思い入れや思い出はないけれど、なんか好きでしょっちゅう聞いていると言う1枚を紹介します。

 ジャケット写真(ジャケ写)では凄みをきかせた表情で貫禄ばっちりの姐さん達と言った雰囲気を出している彼女たちですが、作りだしているサウンドを私なりに解析してみると、
  ・正統派ブルーグラス
  ・基本に忠実
の他
  ・シンプル
  ・軽いけれど安定しているリズム
  ・女性らしい繊細さ
  ・素直
  ・さわやか、
などちょっとジャケ写からは想像できない(!?)特徴があげられます。

 ベースのGena Britt(ジャケ写左から2番目)が主にリードボーカルをとって可愛い声で歌っています。コーラスも女性バンドらしくさわやかで聞いていて気持ちがいいです。近頃カントリー界へ進出していく女性ブルーグラスシンガーや逆にブルーグラスアルバムをレコーディングする女性カントリーシンガーがぼちぼちいますが、その方々は歌い方が技巧的で圧倒的な迫力があってお色気ムンムンと言うイメージ(あくまで主観的なイメージ、全部が全部そうではないのですが・・)で、彼女達のように素朴に表現する歌い方はその逆サイドにあると思い
ます。

 Gena Brittは一方で写真のイメージ通りの安定感と存在感のあるベースを弾いて全体的に軽いバンドのバランスを引き締めています。また、ゲストの男性陣もバンドの雰囲気を壊さない程度にスパイスとして加わっていてます。
 刺激的なブルーグラスを求める人にとっては下手をすると耳障りが良すぎてつい聞き流してしまう物になってしまうかもしれませんが、肩の力を抜いて聞くには丁度良く、全体のバランスの良さがこのアルバムを飽きの来ない物にしていると思います。
 春夏秋冬時期を選ばずいつ聴いても素直に良いと思える一枚です。

 その後Gena BrittはLou ReidのバンドCarolinaでバンジョーを、ギターのAndrea Roberts(ジャケ写左端)はシカゴを拠点として活動しているSpecial Consensusと言うバンドでベースをそれぞれ弾いています。二人とも最近のアルバムのジャケ写ではにこやかな優しい表情を見せていたので安心しました。あとの二人の活動が解りませんが、情報がある方がいたら教えて下さい。時の流れとともにカドのとれた姿になっている事を期待しているのですが・・・。


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DAVID GRISMAN / HOME IS WHERE THE HEART IS
(心の故郷 トラディショナルブルーグラスアルバム)
(1988年)
1. TRUE LIFE BLUES
2. DOWN IN THE WILLOW GARDEN
3. LONG JOURNEY HOME
4. LITTLE WILLIE
5. HIGHWAY OF SORROW
6. SOPHRONIE
7. MY ACHING HEART
8. CLOSE BY
9. FEAST HERE TONIGHT
10. LEAVIN' HOME
11. LITTLE CABIN HOME ON THE HILL
12. I'M COMING HOME, BUT I DON'T KNOW WHEN
13. SALTY DAWG BLUES
14. IF I LOSE
15. SAD AND LONESOME DAY
16. MY LITTLE GEORGIA ROSE
17. FOGGY MOUNTAIN TOP
18. I'M MY OWN GRANDPA
19. PERTTY POLLY
20. HOME IS WHERE THE HEART IS
21. NINE POUND HAMMER
22. MEMORIES OF MOTHER AND DAD
23. TEARDROPS IN MY EYES
23. HOUSE OF GOLD
*David Grisman - Mandolin, Vocals,Producer, Mixing *Del McCoury - Guitar, Vo cals *Tony Rice - Guitar, Vocals *Ricky Skaggs - Fiddle, Vocals *Sam Bush - Fiddle *Doc Watson - Guitar, Vocals *Mike Compton - Man dolin *Harley Allen - Vocals *Red Allen - Guitar, Vocals *Jim Buchanan - Fiddle *Porter Church - Banjo *J.D. Crowe - Banjo *Stuart Duncan - Fiddle *Pat Enright - Guitar, Vocals *Mark Hembree - Bass *Bobby Hicks - Fiddle *Roy M. "Junior" Husky - Bass *James Kerwin - Bass *Alan O'Bryant - Banjo, Vocals *Herb Pedersen - Banjo, Voc als *Curly Seckler - Vocals 
Label/No etc. ROUNDER CD 0251(NECアベニュー A35C-58)
お買い求め情報 インターネットでの通販、ブルーグラスのCDを置いているショップなどで手に入ります。
備 考 タイトル、Lebelの()内は私の手元にある日本盤のデータです。日本盤は現在入手困難だと思います。

DAVID GRISMAN / HOME IS WHERE THE HEART IS(心の故郷 トラディショナルブルーグラスアルバム)

 小松君の第1回に続き私もDavid Grisman(以下グリスマン) のアルバムを取り上げることにしました。
 “HOME IS WHERE THE HEART IS”はRounderから発売された二枚組のCDですが、 私の手元にあるのは「心の故郷 トラディショナルブルーグラスアルバム」と言うタ イトルで今はなきNECアベニューというレーベルから出された二枚組を一枚にまとめ た日本盤のCDです(歌詞つき)。
 ブルーグラスのトラディショナルな超スタンダードナンバーが並び、偉大なマンド リン弾きであるグリスマンと一緒に演奏する面々もビッグネームぞろいです。グリス マン自身がプロデュースしていますが、それぞれのプレーヤーの持ち味が良く引き出 され上手にまとめられています。例えるならおいしいチョコレートの詰め合わせ缶と 言う感じでしょうか・・・。
 ブルーグラスを始めたばかりの後輩によく勧めるアルバムでもあります。なぜなら 私自身短いブルーグラス歴の入り口付近にこのアルバムに関するエピソードがいろい ろとあるからです。今回はそれらの思い出について書いていこうと思います。

 9年前、私が高校3年生の時に他界した私の父はベース弾きでした。大阪の大学では カントリーのバンドに所属していて、卒業後北海道に来てからはブルーグラスもやっ ていたようですが、バンド活動をやっていたのは私が生まれる前から物心ついて間も なくまでだったので詳しくはわかりません。母の話では西岡キャンプ場時代の札フェ スなどに参加していたそうなので、もしかしたらこの文を読んでいる大先輩の中には 父がベースを弾いている姿を知っている方がいらっしゃるかもしれませんが・・・。
 父の遺品の中にはレコードやCDもカントリーの物中心に数多くありました。当時 はそれらに興味はなく針を落とすこともありませんでしたが、高校の学校祭でウエス タン調の喫茶店をやる事になり、店内でかけるBGMによい曲はないかと探すために 聞く機会がありました。どれもエレキ音がびよ〜んびよ〜んしていて今ひとつぴんと 来ませんでしたがその中で1枚“なんだかこれなら喫茶店のイメージに合うかも”と 選んだのがこのCDでした。今思うとウエスタン調=フィドルやバンジョーというの はド素人の考えですが、クラスメイトにもこのBGMは好評でした。

 その後医短2年生の時に大学生活に刺激を求めてサークルに入ろうと思い立ち、い ろいろと迷ったのですが最終的にブル研に入部しました。父親のやっていた音楽に触 れてみたいという感傷的な気持ちも大いにあり楽器は迷わずベースに決めていました が、ここで初めてブルーグラスとカントリーは違うものであると知りこのCDはブル ーグラスのアルバムなのだと知りました。

 ブル研に入ってはじめのうちは楽器の個人練習と言うとプロの演奏に合わせてベー スを弾く日々でした。まだ手元には先輩から録音してもらった数本のテープやこのC Dなどしかなく、よくグリスマン達にも練習相手をしてもらっていました。ある先輩 はこのアルバムの中で“グリマンがソロを弾くと空気が変わる”と表現していました が、曲にあわせてベースを弾いているとマンドリンソロになると弾いている感触が変 わり、まだグリスマンが何者かなど知らなかった私は“なんか知らないけど弾きやす くなった”と思っていた記憶があります。

 そのころ札幌の外れにある自宅から通学していた私は長距離通学のお供にウォーク マンが欠かせなかったのですが、ある日バスの中で何気なくこのアルバムを聞いてい たらタイトル曲である“HOME IS WHERE THE HEART IS”が流れてきました。イントロ はHerb PedersenのバンジョーソロにStuart Duncanのフィドルバッキング・・・・・ その時私の中で“!!”とひらめいたのです。軽快にドライブするバンジョーにあわ せて気持ちよくのばしているフィドルのバッキングのタイミングやバランスの良さに 、ちょっと前の表現をするならば“ビビビッ”ときたのです。“素晴らしくカッコイ イ”と。さながらヘレンケラーが“water”が言葉なのだと気づいたかのように(大 袈裟!?)この出来事がきっかけで私はブルーグラスに目を開きはまっていったので す。ソロではなくバッキングに良さを見いだしているあたりかなりマニアックだった のですが・・・・。
 ブル研1年目の間は本当によくこのアルバムを聴いていて、Red Allenの心地よいVo calやJ.D. Croweの小気味よいBanjoもこのアルバムで覚えました。

 趣味としてのブルーグラスに出会い、サークル活動を通じて現在の配偶者や良き友 人達と知り合うきっかけを作った父と、父の形見であるこのアルバムは私が今の自分 になるまでの重要なカギになっていると思います。自分のことを書くのは照れくさい のですが5月7日の父の命日を機にこの場に思い出を書いてみました。


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Rhonda Vincent / Back Home Again (2000)
1. Lonesome Wind Blues
2. Pretending I Don't Care
3. When I Close My Eyes
4. You're in My Heart
5. Little Angels
6. Passing of the Train
7. Out of Hand
8. Jolene
9. You Don't Know How Lucky You Are
10. Keep Your Feet on the Ground
11. You're Running Wild
12. Where No Cabins Fall
Rhonda Vincen : Guitar, Mandolin,Vocals
Glen Duncan : Fiddle
Marc Pruett : Banjo
Johnny Vincent : Vocals
Darrin Vincent : Bass, Vocals
Paul Brewster : Vocals
Bryan Sutton : Guitar, Mandolin
Ron Stewart : Banjo, Fiddle
Jerry Douglas : Dobro
Randy Barns : Bass
Steve Sutton : Banjo
Luke Bulla : Fiddle
Label/No etc. Rounder 11661-0460-2
お買い求め情報 通販・ショップなど、比較的容易に手に入ると思います。
備 考 私はDISC UNIONで購入しました。

Rhonda Vincent / Back Home Again

 今回ご紹介するアルバムは、今年1月にリリースされたRhonda Vincentの最新譜です。Bluegrass UnlimitedやBluegrass Nowなどの専門誌のアルバムチャートで上位(1位もあり)を記録しているようです。
 サリーマウンテンショーというファミリーバンドで5歳の頃(1967年)からブルーグラスミュージシャン(主にボーカリスト)として活動を続けていた彼女は、ソロデビュー、カントリー界への進出を経て再びブルーグラス界へ戻ってきました。ブルーグラス復帰第1作目がこのアルバムです。
 憶測ですが、カントリーミュージシャンとしての生活では何かつらいことがあったのでしょうか?アルバムタイトル”Back Home Again”からは古巣へ帰ってきたという安心感が伺え、内容は様々な悩みからふっきれたかのようにパワフルですっきりとした感じに仕上がっています。

 このアルバムを手に入れようと思ったきっかけは昨年10月にアメリカで初めて見た彼女のステージです。それまでの彼女へのイメージは曲を聴いてもジャケットを見ても今ひとつぱっとしないふつーのおばさんでした。ところがIBMAの会場で淡い紫のサテン系のつるつるした素材のパンツスーツを着こなし颯爽とマンドリンケースを片手に私の横を通り過ぎていった彼女はすてきなお姉さんで、IBMAファンフェスでの彼女と彼女のバンド"The Rage"のステージもとてもかっこよく、それまでの彼女に対するイメージはすっかり吹き飛ばされてしまいました。彼女自身のかっこよさもさることながら、"The Rage"の演奏もかなりかっこよかったのです。rageという単語には激怒とか猛威とか熱狂という意味があり、確かに彼女は高音を力強くを張り上げる情熱的な歌い方をします。激しすぎて聞く人が引いてしまうすれすれラインでもあるけれど、ステージでは他のメンバーがタイトなリズムでかちっとサポートしていたのでその激しさが耳障りなものには決してならず、迫力のある目の離せないステージを見ることが出来ました。
 ステージを見終わった後興奮冷めやらないその足で彼女が自身のCDを販売しているブースへ向かい並べられていたCDの中から最新のものを買いました。ジャケットに"TO AYUMI"とため書き入りのサインももらい大満足で日本に持って帰り期待しながら聞いてみるとそこからはカントリーテイストあふれるふつーのサウンドが聞こえてきました。その時にはまだこのアルバムは出ていなかったのです。がっくりしながらもいつかはアメリカで見たあのかっこいいブルーグラスをやる彼女のアルバムが出ると信じMOON SHINER誌の新譜紹介ページを欠かさずチェックしていました。今年の4月号でようやくこのアルバムの発売情報を手にいれ、ちょうどそのころ東京を訪れる機会があったのでDISC UNIONへ寄り店頭にこのアルバムを見つけたときにはうれしくなって速攻手に取りレジへ持っていきました。家に帰り早速聞いてみると期待通りの聞き覚えのあるかっこいいブルーグラスサウンドが聞こえてきました。

 ようやく手に入れて以来私の愛聴盤の一枚に加えられたたこのアルバムは歌の高音の部分では思わずスピーカーから体をよけたくなってしまうくらいパワフルな彼女のボーカルを前面に出し、現在のバンドのメンバーは参加していないけれど彼女の父親Johnnyや弟Darrinを中心とした確かな人選で周りきちんと固めています。
 1曲目のLonesome Wind Bluesは私がIBMAで見たときにもやっていた曲で、彼女がステージでよく演奏している曲のようです。Mark Pruett(竹内さんの最新レビューにも出てきています)の力強く弾けるようなバンジョーキックオフからして気合いの入り方が違います。一曲目にガツンと聞かされた後放心する間もなくJimmy MartinのワルツPretending I Don't CareがRon Stewartのアクセントが的確ではっきりとしたフィドルから始まり、終わりまでフィドルとぱきぱき三拍子を回すバンジョーとで圧倒されます。その次にバンジョーなしのバラードWhen I Close My Eyesで一息ついたところでAlison Kraussも歌うYou're in My Heartがさわやかに始まります。このYou're in My Heartの雰囲気はユニオンステーションなのですがやはり歌が全然違います。スイートな感じのAlisonに対し芯のしっかりした力強い彼女、昔のアイドルを例に言えば松田聖子と中森明菜のような違いがあります。このほかにも父親とのデュオでしみじみ聞かせるOut of HandやDolly Partonのヒット曲Jolineなど緩急織り交ぜた選曲で疲れずに聞き終えることが出来ます。
 彼女のボーカルの迫力が印象深いけれど全体としては肩の力が抜けているように感じられるこのアルバムからは人生経験を重ねた後に本当の自分のスタイルをとらえて表現する事がることができた今の彼女の姿が見えてくるように思います。

 現在の"The Rage"では、Machine Gunの異名を持つSteve Suttonがバンジョーを弾き、アメフトなどやってそうながっしりとした体(もちろん指もごつい)から生まれる力強いけれど決して力技ではない体育会系サウンドが光っています。また、アルバムリリース後には盲目の若手天才フィドルプレーヤーMike Clevelandが高校卒業を機にメンバー入りしています。強力なメンバーをバックに従えたこれからの彼女のブルーグラスミュージシャンとしての活動がますます楽しみです。


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Tammy Fasseart / Just Passin' Through (1995)
1. Never See Your Face Again
2. Wish Me Well
3. I Remember
4. Everybody Cheats on You
5. Winter's Night
6. You Never Said Goodbye
7. You Shouldn't Have Told Me That
8. Just Passin' Through
9. Carry You Along
10. When the Sun Comes Up
11. Forest Belle
Tammy Fassaert : Bass, Guitar
Scott Nygaard : Guitar
Barbara Lamb : Fiddle
Ed Johnson : Vocals
Sally Van Meter : Dobro
Kevin Wimmer : Fiddle, Accordion
John Reischman : Mandolin
Mark Schatz : Bass
Lisa Theo : Vocals
Label/No etc. STRICTLY COUNTRY RECORDS SCR-36
お買い求め情報 手に入れるのは比較的容易だと思います。2000年10月に京都の十字屋に置いてあるのを見かけました。
備 考

Tammy Fassaert / Just Passin' Through

今年も猛暑といわれた夏の暑さが嘘のように秋が深まってきましたが皆さまいかがお過ごしでしょうか?
今回はこの季節にぴったりのアルバムをご紹介します。
Laurie Lewis & Grant Streetなど西海岸方面のバンドで活躍するカナダ人ベーシストTammy Fasseartさんのソロアルバムです。
彼女は日本に何度も訪れたことがあり(城氏、中島氏のレビュー参照)私も1995年に大阪と帯広で彼女のステージを観ています。

ブルーグラスミュージシャンはプロアマ問わずみなさん良い人ばかりですが、彼女も阪神大震災の時にはるばる日本に駆けつけ避難所を演奏しながら慰問に回ったというエピソードを持つ心の優しい女性です。
そしてこのアルバムにはそんな彼女の人柄がよく現れています。

アルバムの中で彼女はソングライターとしての才能も発揮しています。
全11曲中4曲のオリジナル曲は優しくさわやかなメロディーで、柔らかく落ち着いた和み系の彼女の歌い方にぴったりです。
歌詞にも彼女の優しさや芯の強さが現れていると思います。特に1曲目の「Never See Your Face Again」が私は好きです。この曲は彼女の亡くなった母親のことを歌っていまが、悲しみの中で前を見つめている姿をさわやかなメロディーに乗せて歌い上げているところが切ないです。歌の最後の部分は"Always looking towards the next horizon/Never looking back upon the past/A restless heart is hard to tame, and I don't want to waste away/I guess everything must come to an end/For I find myself alone without a friend "と、いじらしくて聞いていると思わず泣けてきそうなくらいです。

また、プロデューサーのScott Nygaardが曲のアレンジにもギターソロにも嫌みのないお洒落な持ち味を発揮させて彼女の良さをひきだしています。

このアルバムの個人的なイメージとしては秋の澄んだ空気と紅葉するメイプルリーフ(やっぱりカナダの人だから・・・)なのですが、この季節紅葉を観にドライブしたり枯れ葉を見つめてちょっぴりおセンチ(死語)にたそがれたいときなどBGMにおすすめしたい一枚です。


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Kathy Kallick / Use a Napkin (Not Your Mom) (1995)
1.Use Your Napkin (Not Your Mom)
2.The Crawdad Song
3.Smelly Feet
4.Did You See Jackie Robinson Hit That Ball?
5.There's A Hole In The Bucket
6.Bye Bye Kitty Zydeco
7.My Family
8.C-H-I-C-K-E-N
9.Amelia Earhart's Last Flight
10.Liza Jane
11.Little Starlet
12.Don't Hurry Me
13.A Boy And His Dog
14.On My Way Back Home
Kathy Kallick : Guitar, Arranger, Vocals
Kate Brislin : Banjo, Vocals
Kevin Carr : Bagpipes
Sue Draheim : Fiddle
Piper Heisig : Vocals, Bass (Acoustic)
Sylvia Herold /Tony Marcus : Guitar , Vocals
Sally Van Meter : Guitar (Resonator)
Todd Philips : Bass (Acoustic)
John Reischman : Guitar, Mandolin
Sandy Rothman : Banjo
Alan Senauke : Guitar, Percussion, Triangle, Vocals
Jody Stecher : Guitar, Mandolin, Vocals
Kevin Wimmer : Fiddle, Accordion
Kyle Thomas /Ashley Daly /Michele Eng:Surowiec / Jeremy Kallick /Adam Kotin /Sylvie Senauke / Miriam Sidney /Jenny Waller /Charlotte Wing : Vocals
Label/No etc. Sugar Hill/SH-CD-3833
お買い求め情報 入手は容易だと思います。ここで試聴できます
備 考 彼女はこのアルバムの他に'90年に「What Do You Dream About」という子供向けのアルバムをリリースしています。

Kathy Kallick / Use a Napkin (Not Your Mom)

今回紹介するのはKathy Kallickの子供向けアルバムです。

私事でありますが、今年の2月に女の子を出産しました。
雅子様と愛子様はご学友の演奏するモーツァルトを聴いてきたそうですが、私たち母子の胎教はDel McCouryやBill Monroeなどハイロンサム路線でした。
しかし、これからこの世に誕生し夢いっぱい希望いっぱいの子供時代を送ろうとする我が子にいきなり外界からロンサムを教え込むと言うのもどうかと疑問を持ち、ブルーグラスサウンドでも子供向けなら・・・と思いこのアルバムを手にしました。

私は彼女に対して「子供が好き」というイメージを持っていました。
数年前来日したときに、コンサート会場にいた子供達に気さくに話しかけていた姿を見たり、Good Ol' Personsのアルバムに収録されている彼女の曲「Ellie」(母親の娘に対する愛情がテーマになっています)を聞いていたからです。
そしてこのアルバムを聞いたとき、いっそうそのイメージが強くなりました。

閑話休題、このアルバムは収録曲のコーラスに子供達の声が入っていたり、歌詞の内容が道徳的だったり言葉遊びが楽しかったりするところが普通のブルーグラスアルバムとは違っているものの音の面では、一流のミュージシャン達がきっちりとしたいい仕事をしています。
さすがにソリッドなアレンジの曲は入っていないとはいえ、子供や子を持つ親でなくとも聞いていて楽しめ、和めるアルバムです。


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