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Bluegrass駅伝的アルバムレビュー「Bluegrass Times」
 
駅伝的アルバムレビュー「BluegrassTimes」 / 小川仁 -guitar-

Lonesome River Band / Finding the Way (1998)
1. Am I a Fool
2. Love's Come Over Me
3. Let It Go
4. Cardboard Mansion
5. Perfume, Powder and Lead
6. Baby Come Home
7. Another By My Side
8. Don't Worry‘Bout Daddy
9. Finding Your Way
10. Up on the Shelf
11. Better Days to Come
12. Sweet Sally Brown
13. Devil Chased Me Around the Stump
Ronnie Bowman : Vocals, Bass, Guitar
Don Rigsby : Vocals, Mandolin
Kenny Smith : Vocals, Guitar
Sammy Shelor : Vocals, Banjo, Bass
Jerry Douglas : Dobro
Jason Carter : Fiddle
Randy Howard : Fiddle
Label/No etc. SHCD-3884
お買い求め情報 まだ新しいのでBluegrassのCDを置いてある店(Tower Recordsなど)ならきっとあります
備 考 1995年に来日したバンドです

Lonesome River Band / Finding the Way

今を遡ること5年前、僕がまだまだブルーグラスもろくにわからなかった頃、 このバンドが来日し、すっかりはまってしまったことを思い出します。 その理由は「聴きやすさ」にあったのではないか、と思います。派手な「きめ」、 ブルーグラスにあるまじきマイナーコード、そしてアルバム “Carrying the Tradition”以来メインボーカルを取るRonnie Bowmanの甘い ボーカル(&マスク)。ブルーグラスでありながら(?)、多分に一般ウケする 要素が僕を引きつけました。


さて、本CDですが、上記の要素を多分に盛り込んでいます。まずは1曲目。 メジャーの曲でありながら、いきなりマイナーコード!そして期待通りの 「きめ」。この曲にこそ彼らの魅力が凝縮されているように感じます。 そしてRonnie Bowmanのスウィートボーカルが聞けるのが11曲目。うっかり 聴いてると惚れてしまいそうです。北大ブル研的に言うと「チャラい」という カテゴリーに入ります。特にブルーグラスとは思えないコード進行 (C→D→Bm→Em)を用いている箇所はまさに聴き所。ポップス調に仕上がってます。 ちなみにこのコード進行を他に用いている曲としてはAlison Krauss‘Lose Again’、 スピッツ‘ロビンソン’があります。ご参考まで。


演奏面では、このアルバムではゲスト参加のJerry Douglasのドブロが随所に味を出して います。前作のアルバムでもゲスト参加していますが、存在感が各段に違います。 甘い感じの曲が多いことがその理由でしょう。その一方でSammy Shelorのバンジョーが 控えめなのは残念なのですが・・・。


ちなみにこのアルバムの裏ジャケットのKenny Smithの写真がサミー・ソーサに似ている と思った人は僕だけではないでしょう・・・。


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Country Gazette / Traitor In Our Midst/Don't Give Up Your Day Job (1972/73)
1. Lost Indian
2. Keep On Pushin'
3. I Wish You Knew
4. Hot Burrito Breakdown
5. I Might Take You Back Again
6. Forget Me Not
7. Tried So Hard
8. Anna
9. If You're Ever Gonna Love Me
10. Aggravation
11. Sound Of Goodbye
12. Swing Low Sweet Chariot
13. Huckleberry Hornpipe
14. The Fallen Eagle
15. I Don't Believe You've Met My Baby
16. Deputy Dalton
17. Teach Your Children
18. My Oklahoma
19. Down The Road
20. Winterwood
21. Honky Cat
22. Snowball
23. Lonesome Blues
24. Singing All Day(And Dinner On The Ground)
Byron Berline : Vocals, Fiddle, Mandoline, Guitar
Alan Munde : Vocals, Banjo, Guitar
Kenny Wertz : Vocals, Guitar
Roger Bush : Vocals, Bass
Herb Pedersen : Vocals, Guitar
Skip Conover : Dobro
Chris Smith : Guitar
Clarence White : Guitar, Dobro
Leland Sklar : Electric Bass
Al Perkins : Pedal Steel
Label/No etc. BGO CD298
お買い求め情報 インターネットなら入手可能でしょう。運が良ければDisk Union、Tower Recordにあるかも…
備 考

Country Gazette / Traitor In Our Midst/Don't Give Up Your Day Job

このCDは僕が大学3年くらいの頃に入手しましたが(はっきり覚えてない…;_;)、きっかけは 当時北大ブル(ーグラス)研(究会)内で一世を風靡した(?)某アイドルもどきバンド、○マップが このCDの2曲目を練習していたことでした。確か発表はしてないと思いますが…。それまで このCDはテープでも持ってはいなかったんですが、彼らのバンド練習中にこの曲の原曲を聞き、 「これは買わんと…」と思うようになったんです。ついでにこれ以外にもいろいろと気になってる 曲がこのCDには入ってたんで、結局買うことにしました。

で、レビューをせんといかんわけですが、2on1のCDなわけで、1枚目(1〜12曲目)と2枚目(13〜24曲目) ではちょいと趣向が違います。でも全体のアレンジというか雰囲気は一緒なので、1枚のCDとして、 つらつら書いてみたいと思います。コンセプトは「奇抜」ですかねぇ…。

まず1曲目でやられます。結構ありがちな感じのFiddle Tuneなのですが、いきなり「へぇ〜〜、 へぇえほぅ〜〜」という奇抜な叫び声から始まり、やたらノリノリで、はねまくってます。で、 同様な叫び声が効果的に曲中に使われ、うっかりしてると後ろから槍でさされそうな感じもします。 そんなスリリングな始まりをするアルバムなんですね…。

2曲目は前述しましたが、僕がこのCDを買うきっかけとなった曲です。キーはGですが、途中で 度々B♭に転調します。転調しては戻り、戻っては転調しを繰り返すという奇抜さを持っているの ですが、それが自然なようにも不自然なようにも聞こえ、なぞのままエンディングを迎えてしまう、 そんな奇妙な余韻の残る曲なんです。コード進行を取ると更にはまってしまうこと請け合いです。 きっと。僕は一時期この曲のコード進行を無意識にかき鳴らす状態に陥ったことがありましたねぇ…。

奇抜な曲はまだまだあり、ベースのRoger Bushがやたらめったらスラッピングしてます。5曲目、9曲目などでは、 「果たして必要なのか?」と思わせ、10曲目、14曲目、16曲目など「そんなにやらんでも…」と思わせます。 更に極めつけは21曲目。エレベなのにスラッピングが聞こえます。どうやらエレベとウッドベースを両方 用いるという奇抜な録音をしており、「そこまでして入れたいのか?」とさえ思えます。さて皆様は どう思われるでしょうかねぇ…。しかもスラッピングしている時はリズムが不安定という「オチ」まで あるし…

とは言いながら、素晴らしい曲も多いです。11曲目の「Sound Of Goodbye」なんか名曲ですね。原曲が 別にあるのかもしれませんが、僕はこのアルバムでは一番好きな曲です。美しいです。そしてCSN&Yの名曲を カバーした「Teach Your Children」。実は僕はこのアルバムでこの曲を知って、東京に来てから原曲の 入ったCDを買ったという経緯があります。これも良い曲ですね。以前Begin(今も活動してすらしいですね) がこの曲をTVで演奏していて、「かっちょえ〜」と思ってしまいました。ちなみに彼らはこの曲で「ギロ」 みたいな音の出る楽器を使うという奇抜なことをしてました…

演奏面からこのアルバムを評すると、やっぱりByron BerlineのFiddleがとにかくすごい、これに尽きますね。 Alan MundeのBanjoも奇抜なソロを弾いててすごいし、13曲目のClarenceのギターソロもすごいとは思います が、アルバムを通して聞くと、やっぱりByronのFiddleが一番目立っているように思えます。好き勝手に 弾いているようでいて(本当に好き勝手かも知れませんが。同じフレーズが多いし(^-^;)、要所を押さえ てる感じがします。特に「歌もの」のバッキングが僕は好きですね。「踊る」という表現がまさにぴったりだ と思います。かつどんな曲でもアピールするという奇抜な面も持ってますね。

思いつくままつらつら書きました(かつ無理矢理「奇抜」という単語を使いました)が、聞いてて飽きない アルバムです。今聞いても斬新な感じがします。一聴(?)の価値はあると思いますよ。現役生の皆様。


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Laurel Canyon Ramblers / Rambler's Blues (1995)
1. Rambler's Blues
2. Crossroads Bar
3. To a Heart Always True
4. This Heart of Mine(Can Never Say Goodbye)
5. Yellowhead
6. He Said If I Be Lifted Up
7. She's No Angel
8. Jordan
9. Love Reunited
10. Flatland Ramble
11. Jesus Savior, Pilot Me
12. Roll On
Herb Pedersen : Vocals, Banjo, Guitar
Bill Bryson : Vocals, Bass, Guitar
Billy Ray Lathum : Vocals, Guitar
Kenny Blackwell : Vocals, Mandolin
Byron Berline : Fiddle
Leroy McNees : Dobro
Label/No etc. Sugar Hill Records, Inc NC 27717-5300
お買い求め情報 ブルーグラス関連のCDがあるとこなら、結構どこでもありそうです
備 考  

Laurel Canyon Ramblers / Rambler's Blues

今回紹介するのはLaurel Canyon Ramblersです。僕は前回Country Gazetteを紹介したのですが、 同系列とでも申しましょうか、両バンドは「一連の流れ」上にあると僕が思ってまして、その流れに乗って今回ご紹介することとしました。

その流れと言うのは、バンド面子に多分に関係してまして、Kentucky Colonelsから端を発し、 Country Gazette、Laurel Canyon Ramblersと結構面子が重なっているんです。まぁ、そんなことはブルーグラス 界では珍しいことでも何でもないのですが・・・。で、面倒な説明は抜きにして(本当に面倒なだけだったりして・・・(^-^;)、 今回取り上げるRambler's Bluesを語りましょう。

このバンドはBanjoのHerb Pedersenが主体となってるのですが、彼のやりたいことが詰まってるような印象があります。 このバンドが活動するまで、彼はGazetteやSeldom Scene、セッション(Here Today、Bluegrass Reunion)、 企画もの(Home Is Where The Heart Is)にちょこちょこと参加していて、「主役!」と言う感じではなかなか 登場してこなかったのですが、はじめて本格的に中心的な存在になっているため、やっと彼が主役を務めるような曲の構成 になっています。

Herb Pedersenがメインボーカルを取る曲が何曲かあるのですが、それがまた、バンドのイメージを出していると言うか、 実にはまってます。まぁ、はっきり言うと「オヤジ声」の部類に入るのですが、穏やかにかつ感情込めて歌ってる 印象があるんです。特に1曲目と9曲目。1曲目はいきなりこのバンドの集大成みたいな曲で、Bluegrass特有の 「テレンテレテン」というBanjo Kick-offではあるのですが、柔らかいタッチで、おだやか〜な感じなんです。 で、Herb Pedersenがやわらか〜く歌い上げてるんですね。別にテンポが遅いわけではないんですが、彼のBanjoと ボーカルによってとてもゆったりした仕上がりになってるんです。コード進行がちょっと典型的なブルーグラスっぽくはないため、 こういった優しい感じを出しやすいのかもしれませんが、「これがHerb Pedersenの目指してたものなのね」と納得してしまう ような曲です。きっと。アルバム全体を通しても、「おお!」と驚くような箇所はほとんどなく、どことなくオブラートに 包んだような優しさがあります。9曲目は更に優しく、切ないくらいです。失恋したときに聞きたらやばいかもしれません。 それくらい優しく、切なく彼が歌っています。

アルバムを通して、「穏やか、柔らかい、優しい、切ない」印象があるのですが、それは多分にHerb PedersenのBanjoの せいかな、とも思います。音が丸いというか柔らかいというか・・・。ぶっちゃけた話、「音が悪い」とも言われてますが(^-^; Banjo弾きには納得いかない音かもしれませんねぇ。決してカンカン鳴らないので。彼の演奏は。でも僕は別に嫌いではなく、 むしろ好きなくらいです。彼のオヤジ声とマッチしてますからね。

また他の曲では、インストが2曲入っており、ここで気になるのがMandolinです。Kenny Blackwellという人(あまり詳しく 知りません)がこのバンドで弾いているのですが、なかなか小技が多くて楽しいんです。半音もよく使ってます。「おお!」 とまでは行きませんが、「ニヤッ」としてしまいます。そしてゴスペルが3曲も入ってて、「くどいな」と思わせますが、 きっとHerb Pedersenが好きなのでしょう。この辺は大目にみたいところです。あとは、「She's No Angel」という曲が入ってますが この曲はHerb PedersenがGrissmanとのセッション「Bluegrass Reunion」でも演奏していますが、見事に同じソロを弾いてます。 唯一の違いは、「Reunion」でのソロでは一瞬音が切れている箇所があり、「お、間違えたのか?」と思わせているのですが、 このアルバムではその箇所がつながれており、「おお、ちゃんと弾けてるじゃない。」と思わせます。つまりここでは、 「彼はこういうソロを弾きたかったのね」ということが確認できるんです。よほどこの曲が好きなのか、それともよほど 「Reunion」の演奏が納得いかなかったのかのどちらかですね。きっと。

他の演奏者に関して、ちょっと述べておきたいこととしては、まず、Byron Berlineですね。僕はかなり好きです。Gazetteのときは ちょっとハチャメチャな感じがしましたが、このアルバムでは丸くなって、「熟練!」という印象があります。3曲目のエンディングの 切ないフレーズ(Fade Outするところもいいんですねぇ)など、ベテランの味を出してます。「いぶし銀」と言っても許されるでしょう。 で、対照的なのがGuitarを弾いているBilly Ray Lathum。彼はKentucky ColonelsでClarence White等と一緒にステージに立っており、 そのころはBanjoを弾いてました。このバンドではGuitarなのですが、はっきし言って@音が悪いAGランを外すBHerb Pedersenが 足元にも及ばないくらいのオヤジ声、という3拍子がそろったPlayerなんです。「何で一緒にやってるの?」とさえ思います。 ちょっと言い過ぎかもしれませんけど。でも・・・良いところがないんです(ToT) そしてDobroです。Leroy McNeesという人なのですが、この人のフレーズがカッコ悪い(ToT) 特に10曲目のインスト。「ぶぅっっちゃ〜」というタメタメのスライド(?)の連発。 「何でそこまでぇっっ」と思え、肩を落としてしまいます。このインスト自体はめちゃめちゃ良い曲なんですけどねぇ。

何だか、せっかくレビューしてるのにろくなこと書いてないですね。良いアルバムなんですよ。いや、マジで。でもこのレビューじゃ 伝わらないなぁ・・・。

という訳で聞いて下さい。はい。


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Alison Brown / Fair Weather (2000)
1. Late On Arrival
2. Fair Weather
3. Poe's Pickin' Party
4. Everyday I Write The Book
5. The Devil Went Down To Berkeley
6. Hummingbird
7. Girl's Breakdown
8. Everybody's Talkin'
9. Deep Gap
10. Shake and Howdy
11. Leaving Cottondale
12. Sweet Thing
Alison Brown : Banjo(1,2,3,4,5,6,7,8,10,11,12), Guitar(9)
Sam Bush : Vocals(4), Mandolin(1,3,4,7,11)
Stuart Duncan : Vocals(2), Fiddle(1,2,3,4,6,7,11), Mandolin(2)
Todd Phillips : Bass(1,3,4,5,7,8,9,11)
Vince Gill : Vocals(2), Guitar(2)
Gene Libbea : Vocals(2), Bass(2)
Mike Marshall : Mandolin(3,5,10), Guitar(4,8)
Tony Rice : Guitar(3,5,7)
Garth Fundis : Vocals(4)
Darol Anger : Fiddle(5,8,10)
Claire Lynch : Vocals(6)
David Grier : Guitar(6,9)
Matt Flinner : Mandolin(6,9)
Tim O'Brien : Vocals(6,8), Mandolin(8)
Missy Raines : Bass(6)
Jerry Douglas : Dobro(7)
Bela Fleck : Banjo(11)
Label/No etc. Compass Records/7 4292 2
お買い求め情報 新譜です。Tower Record、Disk Unionで買えるでしょう。
備 考 ジャケット表紙の彼女の顔はいただけません。

Alison Brown / Fair Weather

このアルバムは、とあるCDショップの試聴コーナーに置いてあり、「お、Alison Brownの新譜ね」と思っておもむろに聞いてみたところ、あまりの良さに感激して衝動買いしちゃったものです。元々「Alison Brown大好き!」ってわけではなかったんですが、とても試聴だけでは満足できずにそのままCDを手にカウンターへ向かってしまったのでした。

で、買った後改めてじっくり聞いてみたんですが、全体の構成がバラエティーに富んでいるのに改めて感激しました。もちろんAlison Brownは歌わないので(なぜかは知りませんが)インストが多いのですが、早い曲、Irish調、ちょっとNew Grassっぽい曲、Bela FleckとのTwin Banjo、そして適度にちりばめられた歌もの、しかも男性ボーカルも女性ボーカルもあり、というとっても「おいしい」構成なのです。彼女はいろんな曲を弾けちゃうから、こんなCDを作れてしまうのでしょうか?買ってからしばらくはこのCDばっかり聞いていました。このとき同時に5枚ほど他のCDを買っていたんですがねぇ(^-^;

ちょっとピックアップしてみますと、まず1曲目。いきなりめちゃめちゃ突っ込みまくってるインスト。実はギターが入っていないのですが、それが「突っ込み感」を出してるんでしょう。きっと。ベースがガンガン引っ張ってソロ楽器がかっこいいフレーズを弾きまくってます。特に気に入ったのがフィドルのサードソロの入り。これが異常に良い。タイミングが感動的ですらあると思います。うって変わって2曲目になると、今度はVince Gillバリバリの歌もの。彼のファンでなくても惚れる可能性大です。とにかく上手い。歌もギターも。さらにStuart Duncan、Gene Libbeaのコーラス付き。完璧です。3曲目はIrish調。Mandolin&Banjoで始まる落ち着いた曲です。4曲目はSam Bushのハスキーボイスが楽しめる歌。熱いです。タイトルは熱くないですが。5曲目はちょっと妖しいマイナー調のインストです。何となく最後の「盛り上がりながらブレイクで終わる」という曲構成がNew Grassっぽい感じがしますね。6曲目はClaire Lynchがメインボーカル。いつ聞いても甘ったるい歌い方です。ゆったりした曲調で、ここで一休みという感じです。

7曲目は「Breakdown」と称している通り、Banjoをフィーチャーしたインスト。コード進行も「ああ、こう来たら次はこう行くな」という予想がつきやすいものです。・・・しかしこの曲は北海道のフェスによく参加されている人なら、どこか親しみやすい印象があるはず。そうっ! かの小松崎 健さんにより作曲されたインスト曲「Tuner's Breakdown」にくりそつなんです(ちょっと大げさですが)!図らずも健さんの笑顔が浮かんできそうなくらい(さらに大げさ)! そう思うのは僕だけだったりするのかもしれませんが。そしてちょっと飛んじゃいますが11曲目。これがハイライトですね。「Simple Pleasure」にも入っていた曲をアレンジを変えて再度録音したものですが、ここでBela Fleckとの競演をやっちゃってます。この曲でのAlison Brownもすごいですが、何と言ってもBelaがすごい。かなりメロディーがはっきりしてる曲だと思うんですが、「ここまでやるか!」というくらいメロディーを無視したソロを弾いています(たぶんサードソロ。ひょっとしたらセカンドもそうかも。うまく聞き取れず(ToT))。おまけに最後にゃユニゾン。これには参りました。

だだーっとレビューして見ましたが、かなり盛り沢山な内容のCDだということが言いたいんです。僕の中ではあと半年くらい聞き続けても良さそうな勢いがあります。全体のバランスが良く、「Alisonの魅力満載!」と言う訳ではないのですが、完成度が高い、という意味で勝手に今年のIBMAのアワード候補だと思ってるんですが、如何でしょうか?

しかしジャケット表紙の写真はいただけないなぁ。ひょっとしてちょっと太ったのでしょうか?


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Tim O'Brien / Red On Blonde (1996)
1. Senor(Tales of Yankee Power)
2. Tombstone Blues
3. Farewell Angelina
4. The Wicked Messanger
5. Father of Night
6. Subterranean Homesick Blues
7. Everything Is Broken
8. Man Gave Names to All The Animals
9. Master's of War
10. Oxford Town
11. Maggie's Farm
12. Forever Young
13. Lay Down Your Weary Tune
Tim O'Brien : Vocals, Mandolin, Fiddle, Bouzouki
Scott Nygaard : Guitar
Mark Schatz : Bass, Clawhammer banjo, Ham bone, Harmony vocal
Charlie Cushman : Bluegrass banjo
Jerry Douglas : Hawaiian, Resophonic and Lap steel guitars
Larry Atamanuick : Drums
Kathy Mattea : Harmony vocal
Mollie O'Brien : Harmony vocal
Glenn Zankey : Harmony vocal
Steve Cohn : Accordion
Mark Graham : Harmonica
Celeste Krenz : Vocal
Bob Tyler : Vocal
Label/No etc. Sugar Hill Records, Inc., PO Box 55300, Durham, NC 27717-5300
お買い求め情報 Tower Record、Disk UnionでCDを漁ると出てくるかも。
備 考 でもBlugrassコーナーには無かったりして。

Tim O'Brien / Red On Blonde

このアルバムはTim O'BrienによるBob Dylanのカバーアルバムです。特に私は「Bob Dylan大好き!」というわけではないのですが(しかも余り知らない・・・)、この新譜が出たときに、つい『勢い』で買ってしまいました。確か2年目だったと思います。その頃私はちょっとTim O'Brienにはまり始め、何でもいいから彼のソロアルバムが欲しかったんです。そこで、「何でBob Dylanなんじゃい!」と突っ込まれそうですが、そこはお許し下さい。このアルバムは全てではないのですが、Bluegrass アレンジも所々にちりばめられており、何と言っても、彼の『熱さ』が伝わる良いアルバムなのです。

さて、中身なのですが、当然全曲Bob Dylanの作品です(わかる人にはわかるんだろうなぁ。私にはわかりませんけど・・・)。きっとTim O'Brienが敬愛していることと思います。しかし私がこのアルバムを取り上げた理由は、Tim O'Brienの熱さを堪能できる点なのです。はっきり言って1曲目にやられました。マイナー調のブルージーな曲ですが、冒頭からの「しぃんにょ〜〜る、しぃんにょ〜〜る」というボーカルが、何とも熱く切なく、胸が痛くなります。きっと原曲でも熱いんだろうなぁ、と思わせます。また、『切なさ』という点では、ギターソロがとても素晴らしいです。Scott Nygaardが弾いているのですが、いい味出してます。妙にテクニックに走ることなく、『余韻で勝負!』という姿勢が感じられ、とても好感が持てるんです。はっきり言いますと、この曲だけでも充分このアルバムを買う価値はあったな、と実感しました。

Tim O'Brienの熱さという点では、このアルバムには随所に発揮されています。基本的には彼がメインボーカルを取り、『歌い上げる』という曲が多いです。きっとBob Dylanのスタイルがこういう感じなのだな、と思ってしまいます(すみません、正直言うと、“Blowin’In the Wind”くらいしか知らないのです)。特に感激したのが、12曲の“Forever Young”。この曲こそ最もTim O'Brienの熱さ(そのままBob Dylanの熱さになるかも)が集約されているような気がします。Bouzoukiのソロで始まり、使っている楽器はBouzouki、Guitar、Bassというシンプルで素朴な構成ですが、素朴であるからこそボーカルの熱さが非常によく伝わる曲のように思います。

そもそもBlurgrassのCDレビューですので、もう少しBluegrass寄りにこのアルバムを見ますと、やはり取り上げるべきは2曲目でしょう。極めてBlugrassな構成(基本5楽器)にてBob Dylanをカバーしており、かつ2ビート、2コードというBluegrassの楽しさ(ノリノリ感)を味わうことが出来る曲です。フィドルソロの『チャカチャチャッチャ、チャ〜』というのがBluegrass精神を感じると供に、「Bob Dylanも Bluegrassに出来るんだ」と思わせるナイスなアレンジです。

ちょっとBluegrssのCDレビューとは思えないようなものになってしまいましたが、結局はTim O'Brien というブルーグラッサーの『熱さ』をお伝えしたかったのです(ちょっと強引(^-^;)。これを機に皆様にもこのアルバムの良さを堪能してもらいたいと思ったので、取り上げました。でも、やっぱりこうしてレビューしてみると、それぞれの原曲を聞いてみたくなってきます。どっかで探してみよう。どなたか「このアルバムに入ってるぞ!」等の情報をお持ちの方はご一報を!


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