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Bluegrass駅伝的アルバムレビュー「Bluegrass Times」
 
駅伝的アルバムレビュー「BluegrassTimes」 / 大沼元 -bass-

Ricky Skaggs and Kentucky Thunder / Soldier of the Cross

1. Battle Cry (Bam's Horm)
2. Soldier of the Cross
3. A Voice from on High
4. The Darkest Hour
5. Gone Home
6. The Joshua Generation
7. Waiting at the Gate
8. Seven Hillsides
9. Are You Afraid to Die
10. Remember the Cross
11. Were You There
12. Jacob's Vision
13. I'm Ready to Go
14. Lead Me to the Rock

Ricky Skaggs : Lead Vocals, Mandolin, Guitar

Bryan Sutton : Lead Guitar

Jim Mills : Banjo

Mark Fain : Bass

Bobby Hicks, Stuart Duncan : Fiddle

Darrin Vincent, Paul Brewster : Harmony Vo.

Ralph Stanley, George Shuffler : Harmony Vo.

Jerry Douglas : Weissenborn Slide Guitar

Label/No etc.

Skaggs Family Records SKFR-CD 5001

お買い求め情報

 

備 考

日本盤が出ているかどうかわかりませんが、アメリカ盤は歌詞がついているのでお得です。

 

Ricky Skaggs / Soldier of the Cross

カントリーからブルーグラスへの回帰を果たしたRickyの名盤“Bluegrass Rule”“Ancient Tone”に続く、これが第3作目である。 本作は前2作とは趣向を変えて、いわゆるセイクレッドソングを演奏した物であり、多種多様なブルーグラスをのひとつの側面を見事に再現した快作である。

Rickyの華々しいブルーグラスでのキャリアと、その後カントリーミュージックへの転身はここでは触れないが、そんなRickyに転機が訪れたのはOpryから毎週放送されたMonday Night Concertのホストをつとめ始めた頃と思われる。 ちょうどこの頃私もアメリカに転勤したので、この番組をオンタイムで見ることができた。 この番組でいろいろなゲストとの競演を果たした結果、その音楽の幅が非常に広がったと思われる。 ゲストには例えばManhattan Transfer、Brian Setzer、Stephen Stills、Elvis Costello等がいた。 カントリー自体も少しずつ新しいフレイバーを持つアーティストが登場し、例えばBlackhawkとの競演はギターとマンドリンのみながらオリジナルプラスアルファの何かを感じ取ることが出来た。

そんな中、Bill Monroeがこの世を去った。 ブルーグラスの父の死をきっかけに、Rickyは再びブルーグラスにのめり込む。 最近のテレビを見てもまるでビルモンがのりうつっているかのようで、まさにBluegrass Rulesに支配されたRickyが映っている。

Bluegrass Rules”の中に入っている“Drunken Driver”という曲を聴いて、そのうねるようなリズムに圧倒された。 それはまさに“Boone Creek”を最初に耳にしたときの感覚と同じであった。

そして、この作品“Soldier of the Cross”の中で、そのうねるリズムとブルーグラスのドライブ感とが見事に結びついた曲が演奏されている。

Joshua Generation”はそのハイライトとも言える曲で、Stuart Duncanのフィドルも絡めて、なんという緊張感とドライブ感であろうか?

タイトルにもなっている“Soldier of the Cross”は、ひたすら美しいハーモニーが印象的な名演。

そして“Seven Hillsides”、これもStuart Duncanのフィドルが泣かせる。

Rounderの“Family and Friends”以来の再演となる“I’m Ready to Go”は、Jim Millsのバンジョーをフィーチャー、バンド全体のドライブ感が圧巻である。

本作品には、“Voice from on High”等のブルーグラス第一世代からのスタンダードも含まれていて、これもジャケットデザインと共に極上に仕上がっている。

ブルーグラスはまだまだ現在進行形の音楽である。



The Tony Rice Unit / Mar West (1980)
1. Mar West
2. Nardis
3. Waltz for India
4. Neon Tetra
5. Is That So
6. Whoa Baby, Every Day I Wake Up with the Blues
7. Mar East
8. Untitled as of yet
Tony Rice : Guitar
Sam Bush : Mandolin
Mike Marshall : Mandolin
Richard Green : Fiddle
Todd Phillips : Bass
Produced by Tony Rice
Label/No etc. Rounder
お買い求め情報 トリオのLPでしか持ってませんが、最近TOKUMAでCD化されました。
備 考

The Tony Rice Unit / Mar West

昨日札幌のヴァージンレコードでCDで発売されているのを見て、急いで家に帰ってLPを聞いてた。
表題曲のドライブ感に圧倒されて、そのままパソコンに向ってレビューを書いている次第。

20年以上も前の録音だなんて信じられないインパクト、DAWGなんて言葉も知らないって人は是非聞いて欲しい!
メンバーもすばらしい、サム・ブッシュがやはりここでも“らしさ”を出して、演奏を引き締めている。
リチャード・グリーン。 このころはまだ天才的なひらめきがバシバシ聞ける。
そして、トッド・フィリップス。 この人の存在感あるベース無しにはこのアルバムは語れないでしょう。
NEWGRANGEをマール・フェスで見たときにはちょっとインパクトがなかったけど、ここでは本当にすごい。
ベースが“唄っている” というのをこの人のプレーからはいつも感じる。
トニーのパートナーとして随分沢山の録音があるが、例えばMe and My Guitar(Rounder CD-0201)のEARLY MORNING RAINなんかがベースが“唄っている”典型的な演奏。

トニー・ライスは、とにもかくにも強烈なスタイルを持ったギタリストで、今でもアメリカのフェスに行くと“トニー教”信者のギタリスト(大体がKIDSが多い)がそこかしこのジャムにいる。
リチャード・ベネットみたいのが、沢山いるわけで、一種のカリスマ的存在。
そのスタイルは、このアルバムのようなジャズとブルーグラスの融合の中でもかわらない。
マイルスのNARDIS以外はオリジナルだが、表題曲以外ではNEON TETRAが名曲。

数年前に声をつぶして、現在は歌を歌えないトニーだが、ライブは相変わらずで観客を泣かせたり総立ちにさせることもしばしば。
最新アルバムのUnit of Measure(Rounder 11661-0405-2)のSHENANDOAHやサリー・グッディンも是非聞いてみて! (あれ、何のアルバムレビューだったっけ?)



The Good Old Boys / Pistol Packin’ Mama (1975)
1. Ashes of Love
2. Here to Get My Baby Out of Jail
3. Long Gone
4. Dim Lights, Thick Smoke
5. Deep Elem Blues
6. Pistol Packin’ Mama
7. Banjo Signal
8. Toy Heart
9. Leave Well Enough Alone
10. Too Wise Special
11. On Top of Old Smokey
12. Barefoot Nelly
13. Don’t You Hear Jerusalem Moan
14. Glendale Train
David Nelson : Lead Vocals, Guitar
Frank Wakefield : Vocals, Mandolin
Mike Marshall : Vocals, Banjo
Chubby Wise : Fiddle
Pat Campbell : Bass
Produced by Jerry Garcia
Label/No etc. RX-LA597-G/RX-109
お買い求め情報 LPでしか見たことありません。CD化されたかどうか、情報お持ちの方は一報ください。
備 考

The Good Old Boys / Pistol Packin’ Mama (1975)

たまに昔のLPを聞いてみるのは良いもので、このLPはその懐かしのシーリーズの一枚。

よくこれだけ個性的なミュージシャンを集め、しかもセッションとして成功させたものだ、と改めて感心。
さすがジェリー・ガルシア。

一曲目のAshes of Loveはスパドラでよく演奏していたので、個人的には好きな曲。
Don Renoのバンジョーがいい。
そういえば、Don RenoはRoanokeに昔住んでいたという事で、だいぶ前に発売されたVideoもRoanokeのTV番組だったし、ジャムに行けばRenoスタイルのバンジョー弾きが結構いたりする。
ちょっとしたアクセントでRenoスタイルを入れると結構かっこいい、というのを実はJoe Mullinsのプレーを見ていて思ったのだが、話が脱線するのでこれはまたの機会に。

Deep Elem BluesはDon、Chubby、Frankそれぞれの個性を活かしたリードが楽しい名演奏。

タイトル曲のPistol Packin’ MamaやBarefoot Nellyのドライブ感も、昔のリズムだけどやっぱり格好いい。

最近のバンドにはない、リズムのうねりのようなものを感じる。 それと、やっぱりフィドルが決定的に今と違うんだろうと思う。
ぐいぐい引っ張るフィドルが、アメリカでもめったに聞けないのが寂しい。
ああ、元気なフィドルを聞きたい!