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Bluegrass駅伝的アルバムレビュー「Bluegrass Times」
 
駅伝的アルバムレビュー「BluegrassTimes」 / 内田勝 -guitar-

Nashville Bluegrass Band / Home of the Blues (1991)
1. Happy on the Mississippi Shores
2. The Fool
3. Blue Train
4. I'll Just Keep On Lovin' You
5. Old Dangerfield
6. Home of the Blues
7. Biggest Liars in Town
8. Home
9. I'll Be on That Good Road Someday
10. The First Step to Heaven
11. Mississippi River Blues
12. The New Democracy
13. Introduction: Isaac Freeman
14. Roll Jordan Roll
Stuart Duncan : Vocals, Fiddle
Pat Enright : Vocals, Guitar
Gene Libbea : Vocals, Bass
Alan O'Bryant : Vocals, Banjo
Roland White : Vocals, Mandolin
Label/No etc. SH-CD-3793
お買い求め情報 ブルーグラスの売っているCD店に行けば手に入るでしょう。
備 考 

Nashville Bluegrass Band / Home of the Blues

はじめに

皆様こんにちは。北大ブルーグラス研究会OBの内田と申します。卒業したのは 去年の3月ですので、もうOB2年目に入るってところでしょうか。ちなみに楽器は ギターをやっておりました
さて、最初に紹介させていただくCDは、Nashville Bluegrass Band(以下NBB)の 「Home of the Blues」です。メジャーなバンドなのでご存知な方も多いでしょう。 なぜこのバンドを選んだか。それは、僕が一番最初に気に入ったバンドだから です。

思い出話

そう、あれは僕が2年生の春頃でした。僕は運悪く宿題に当たってしまい、 このバンドの曲をやることになったのです。あ、「宿題」というのは、 北大ブルーグラス研究会関係者ならご存知でしょうが、一応説明をば。 各楽器のプレイヤーごとにじゃんけんを行い、その敗者達でバンドを組んで、 与えられた課題曲を練習し、発表するというものです。
その課題曲が、このアルバムに入っている「Home」でした。僕は先輩から このアルバムを借りて、聞いて、はまったというわけです。 演奏の評判が意外と良かったのも好きになった一因かも知れません。 この宿題バンドのことは今でも良く覚えています。そう、練習の帰りに 自転車でこけて顔面を痛打したことも・・・。

NBBというバンド

では、僕はこのバンドのどこにはまったのか、といいますと、やはり 「歌」でしょう。なんといってもボーカルが素晴らしいです。これは きっと皆さんも同じ意見かと思います。
とりわけ、Pat Enrightと Alan O'Bryantの2大ボーカルがやはり素晴らしいですねえ。 また、2人だけでなく、全員がボーカルに参加し、アルバムに1曲は アカペラの曲が入っているところも好きなところです。

ちなみに、みなさんはPat EnrightとAlan O'Bryantのどちらが好み (もちろん歌)でしょうか?意見の分かれるところだと思いますが、 僕は断然Alan O'Bryant派です。Pat Enrightも味のあるボーカルで 好きですが、どちらかと言われるとやはりAlanですねえ。かっこいいです。 バンジョー弾いてる姿はあまりかっこよくない、というか正直言って カッコ悪いですが・・・。CDでは見えないのでいいんです!

あ。良く考えたら楽器のこと全然書いていない・・・。えーい、 もう今回は歌だけだ!歌!(開き直り)

アルバム紹介

さて、いいかげんアルバム紹介に入りましょう。このアルバムはやはり いい曲がいっぱいあるなーって思いますね。特に、僕は3曲目のBlue Trainから 9曲目のI'll Be on That Good Road Somedayあたりまで好きな曲が連続してます。 では、以下でオススメ曲を紹介しましょう。

まずは1曲目のHappy on the Mississippi Shores。軽快な曲で、 AlanとPatが2人で全編ハーモニーを奏でております。 やっぱりこの2人のコーラスは絶品ですねえ。 このアルバムは2人全編コーラスの曲が多いように感じます。 NBBならではの技でしょうか。

次は3曲目のBlue Train。この曲はやっぱり好きですね。マイナー調で ブルーグラスっぽくない曲ですが、初めて聞いたときはそのブルーグラス っぽくないところに惹かれた気がします。ベースソロもあったりと、 若者の心をがっちりつかんで離さないような、そんな曲だと思います。 このコード進行もたまらないものがありますね。

4曲目のI'll Just Keep On Lovin' NewはRoland Whiteが歌っている 曲です。おしゃれな感じの曲で、これも好きですね。 特に途中のコードが変化する部分のメロディがいいです。 この曲は自分のバンドでやったんですが、歌ってて気持ちいいですねえ。

6曲目のHome of the BluesもAlanとPatのコーラスがきれいな曲です。 なんか聞いててなごむ、いわゆる「なごみ系」ってやつでしょうか。 これもいい曲だなあ。 思えば、ブルーグラス聞きたての頃ってやたらと早い曲ばかり 好きで、こんな曲には耳もくれてなかったんですが、いつのまにか こういう曲の方が好きになってしまいました。 こうやって演歌を好きになって行くんでしょうねえ、きっと・・・。

7曲目のBiggest Liars in Townは一転してブルージーな感じに。 Pat Enrightはやっぱりこういう曲はうまいですねー。 かっこいいです。こういう感じの曲も最初の頃は好きじゃなかった んですが、いつのまにか好きになってしまった・・・。

8曲目のHomeはちょっと早めのワルツの曲です。 やはり聞くと宿題のことを思い出します。 ああ、顔から血を流したまま家に帰ったっけ・・・。 これも2人の全編コーラスなんですが、曲自体がきれいな ので、さらにコーラスの素晴らしさが際立つって感じですね。 うーん。いい。

9曲目のI'll Be on That Good Road Somedayが個人的にはこのアルバムで 一番好きな曲です。曲自体はトラディショナルな曲で、非常にポピュラー ですが、Alanのボーカルがやはり素晴らしすぎる。コーラス部分の 一人盛り上がりがすごいです。2番目のコーラスですでに盛り上がって いるんですが、そこからさらに盛り上がって行くところがすごい。 ちょっと真似できません。この曲で僕はかなり衝撃を受けまして、 一発でAlanのファンになってしまいました。というわけで僕はAlan派 ってわけです。 曲自体もすごく好きになって、頭の中に一日中流れている時期もありま した。ジャムなどで歌っているとすごく気持ちいいですね。Alanのように はとても歌えませんが。そういえば、2年か3年の頃、ジャムで 真似しようとして失敗して、先輩にいじめられた記憶が・・・。

一気に飛びまして14曲目Roll Jordan Rollはアカペラの曲です。 NBBに加え、The Fairfield Fourというコーラスグループが参加 しています。このグループ、ものすごく声の低い人がいまして、 そのボーカルが中心となっている曲です。しかし、声が低すぎて なんて歌っているんだかさっぱりわからん・・・。

以上、オススメ曲でした。こう見るといっぱいありますねー。 絞ろうかとも思ったのですが、どれも好きな曲なので絞れませんでした。 やっぱり好きなアルバムってのはこういうもんなんでしょうかね。


おわりに

この原稿を書きながらアルバムを聞いていて、やっぱりいいアルバム だなあと思いました。NBBのアルバムではPeter Rowanと一緒にやっている 「New Moon Rising」もいいですね。もっとも、ほとんどPeter Rowanの アルバムって感じかもしれませんが・・・。

さて、今回は楽器にはぜんぜん触れられなかったので、 次回は好きなギター弾きのアルバムにでもしようかなあと思ってます。 それでは。ご清聴ありがとうございました。


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Lou Reid, Terry Baucom & Carolina / Carolina Moon
1. I Call Your Name
2. Carolina Moon
3. There Ain't Nothin' in It for Me
4. The Last to Know
5. Last Train
6. Kneel Down and Pray Up
7. My Heart Never Lies
8. Cold Sheets of Rain
9. Knockin' on Your Door
10. Big Mon
11. Dixie, I Love You
12. My Little Girl in Tennessee
Lou Reid : Vocals, Mandolin
Terry Baucom : Vocals, Banjo
Clay Jones : Vocals, Guitar
Marcus Smith : Vocals, Electric Bass
Label/No etc. REB-CD-1712
お買い求め情報 ブルーグラスのCDを扱ってる店、もしくは通信販売など
備 考 

Lou Reid, Terry Baucom & Carolina / Carolina Moon

Carolinaというバンド

Carolinaはいわゆる「コンポラ系」のバンドであります。ブルーグラス界に コンポラ系バンドは数多くありますが、その中でもかなり好きなバンドです。 理由としてはいろいろありますが、Lou Reidの熱さ、Terry Baucomのバンジョー、 Clay Jonesのギター、あとはとりあげる曲など、ってとこでしょうか。
僕がとりわけ好きなのはギターのClay Jonesです。Clay Jonesはその昔、 宝塚フェスに来たことがあるそうです(残念ながら僕はまだ入部してませんでした)。 しかし、そのときはTony Riceのまねっこということであまりいい評価を 得られなかったとのこと。確かにソロのフレーズはあきらかにTony Riceの影響を 受けています。しかし、個人的には音がきれいで、しかも耳に残るフレーズ を弾くと思います。一番好きなソロギター弾きです。もちろんリズムギターも、 派手ではないですが拍のアタマに入れるストロークなど、カッコイイです。 ただ、最近どのバンドに所属しているのか、まだ弾いているのか、全く謎です。 最近はKenny SmithやBryan Suttonなど、若手のギター弾きが注目されている ので、負けずに頑張ってもらいたいんですがねえ。

アルバムについて

さて、アルバムの紹介に入りたいと思いますが、ちょっとその前に個人的意見を。 僕はブルーグラスという音楽の面白いところの1つに、1つの曲をいろいろなバンドが 演奏している、というのがあると思います。そして、各バンドが自分たちなりの 解釈をして、アレンジを加えて発表すると。とりわけコンポラ系はアレンジに 力が入っていて、聞いていて非常に面白いです。昔からある曲に「おっ」って 思わせるようなアレンジが入っていたりすると、にやりとしてしまいますね。 まあ、このへんも好みの差がありそうですけど。
さて、このアルバムはトラッドの曲やほかのバンドがやっていた曲も数多く 入っており、そこが好きなところです。ちょっとあげてみますと、5曲目の Last TrainはPeter Rowanの曲。8曲目のCold Sheets of RainはVirginia Squires が取り上げていました。9曲目のKnockin' on Your DoorもPeter Rowanの熱唱で 有名ですね。10曲目のBig Monは言わずと知れたBill Monroeのインスト。 12曲目のMy Little Girl in TennesseeはFlatt&Scraggsで有名な曲ですね。 とまあ、これだけ有名どころが入っているわけです。たまりませんねー。
さて、では何曲かピックアップして紹介しましょう。

1曲目のI Call Your NameはLou ReidとT.Michael Colemanの曲。いかにもコンポラ って感じのリズムでよろしいですね。ギターソロは完全にTony Rice意識でしょうか。 それっぽいフレーズが満載です。やはり音がキレイでカッコイイ。直後にバンジョー ソロに入るのはいかにもCarolinaって感じでしょうか。ちなみにこの曲のキックオフは Carolinaの1枚目のアルバム「Carolina Blue」の1曲目「Prisoner of the Past」に 激似。聞き分けられる人を集めて「ブルーグラス・イントロクイズ」を開催したい ですね。ぜひ。
ちょっと飛びまして7曲目はLou ReidのオリジナルMy Heart Never Lies。 これはちょっとせつないメロディーとコーラスのキメが素晴らしい曲です。 ギターソロはキレイ系で、アタマに残るソロだと思います。カッコイイ。
9曲目のKnockin' on Your Doorはかなり原曲とは異なっています。ギターの ストロークから始まり、歌のメロディーもかなり違っていて、Lou Reid風に なっていますね。最初の「ア〜〜〜」が裏声ではなく地声というのも Lou Reidっぽいですね。熱くて良いです。ああ、ギターソロもカッコイイ。 おいしいフレーズ満載です。最後のコーラスではめずらしく裏声が入っています。 疲れたんでしょうか(違うか)。
さて、次の10曲目Big Monでは我らがClay Jonesのソロ炸裂!音もキレイ。 フレーズもカッコイイ。Lou Reidの熱いマンドリンソロもいいですね。 バンジョーソロの合間にブレイクがこっそり入っているのもツボをついています。 さらにマンドリンのカットの熱いこと!うるさいくらいに普段の4倍くらい 入っています。そして、最後に再びギターソロ炸裂!かっこええ。しびれますな。
熱くなったあとは11曲目のちょっとせつないCarl Jackson作のDixie, I Love You。 これもいい曲ですねえ。熱いLou Reidもいいですが、こういう曲調もいいです。 このトラッドに混じったオリジナル曲のクォリティの高さもこのアルバムの 素晴らしさだと思います。
そして、最後にまた熱いMy Little Girl in Tennessee。特にLou Reidの コーラス時のテナーが熱い!テナーのメロディもカッコ良く、さらに毎回 歌い方が変わっているのが良いですね。もちろんギターソロも速いテンポでも キレイな音。さすがです。最後のバンジョーソロ前で盛り上がり、 またマンドリンのカットが場所によっては8倍くらいになっているのが 暑苦しくて良いですね。うーん、素晴らしい。

おわりに

とまあ、このアルバムは後半の充実度が素晴らしいです。ちなみに 1枚目の「Carolina Moon」も同じような感じでオススメですね。 残念ながらこのアルバムを最後にLou Reid以外はこのバンドから脱退して しまい、まったく音が変わってしまったのがちょっと残念なところです。 さて、Clay Jonesに興味を持たれたという方はインストアルバムの「Bluegrass '95」 がオススメです。かなりギターソロも前面に押し出されています。 これまた96以降はギター弾きが変わってしまったのが残念なとこなんですが・・・。 それでは今回はこの辺で。さようなら。 <000425-->


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Kenny Smith / Studebaker
1. Studebaker
2. Me and My Farmall
3. Lay Me to Rest
4. Bill Cheatham
5. Lay This Broken Heart to Rest
6. Snow Shoes
7. Preachin' by the Roadside
8. Red-Eyed Benny Hen
9. New Sunday School
10. Amanda's Reel
11. One Horse Wagon
12. St Anne's Reel
Kenny Smith : Vocals, Guitar
Adam Steffy : Mandolin
Sammy Shelor : Banjo
Daniel Carwile : Fiddle
Barry Bales : Bass
Don Rigsby : Vocals
Ronnie Bowman : Vocals
Randy Lucas : Banjo
Amanda Smith : Vocals
Label/No etc. SHCD3869
お買い求め情報 ブルーグラスのCDを扱ってる店、もしくは通信販売など
備 考

Kenny Smith / Studebaker

今回のアルバム

今回はギターのアルバムを取り上げたいと思います。Lonesome River Band (以下LRB)のギター弾き、Kenny Smithのソロアルバムです。Kenny Smithは LRBに入ったことで一躍脚光を浴びましたが、その前にもClaire Linchのバンドにも 参加していたようです。知っている人は知っている曲 「It Don't Mean A Thing If It Ain't Got That Swing」 のギターを弾いているのはこの人です。橋本さん、知ってました?

さて、このアルバムは、はっきり言って「地味」です。構成としてはインストと歌もの が半々、って感じなのですが、インストもおとなしめの曲が多く、テンポも 押さえ気味。歌ものもおとなしいですね。一回聞いただけで印象に残るような インパクトのある曲はありません。
では、このアルバムはなにがいいか、といいますと、やはりKennyの ものすごくキレイなギターの音色でしょう。それに尽きますね。また、ボーカルも (顔と体に似合わず)ちょっと幼いような声ですがそれがまた良いです。 曲もなごむような曲が多く、いい感じです。

さて、参加メンバーですが、Adam Steffy, Sammy Shelor, Bally Balesといった 超一流を迎えており、非常に音が丁寧です。ボーカルではLRBのDon Rigsby, Ronnie Bowmanが参加しています。さらに、Kennyの奥さんAmandaもボーカルを 取っております。すごくいい声です。おそらく一般人ではないんでしょうね。

曲紹介

では、例のごとくおすすめ曲に解説を加えていきましょう。 僕はレビューを書く際には紹介するには聞いてもらいたいという のがアタマにあるので、つい曲の紹介ばかりになってしまいますが、お許しを。

タイトル曲となっている1.Studebakerはいきなりカッコイイ曲です。 Kennyのオリジナルですが、とにかくカッコイイ。バリバリ弾きまくって いますが、音は本当にキレイです。特にセカンドブレイクは圧巻です。

3.Lay Me to Restは歌ものです。まず、この裏から入るストロークがキックオフと なるところで「おっ」と思わせます。そして、この曲独特のランがまたカッコイイ。 文字で表すなら「ドゥンドゥンデトゥントゥーンチャッンチャッ」という 感じでしょうか。さらに、曲調とKennyの声質も合っていて、歌もカッコイイ んですねー。このアルバムで一番好きな曲です。

4.Bill CheathamはBluegrassをやってる人ならおそらくご存知であろうインスト ですね。何気ない曲ですがKennyの多彩なフレージングとキレイな音を 楽しむことができます。

5.Lay This Broken Heart to Restは奥さんが美声を聞かせてくれます。 スローテンポの曲ですが、非常にキレイな曲で、奥さんの透き通るような声と ダンナとのコーラスが堪能できます。奥さん奥さん連発する レビューもなかなかないでしょうねえ、奥さん。

10.Amanda's ReelはKennyのオリジナルのインストです。これもキレイな 曲で、やはりKennyの音使いとキレイな音が聞き所でしょうかね。 しかし、曲に奥さんの名前をつけてしまうとは、やりますね、Kenny。 愛妻家であることがうかがえます。もしかしたら尻にしかれているのかも 知れませんが。余計なお世話ですね。

11.One Horse Wagonは歌もの。最初のフィドルのソロからなんかなごみます。 ちょっとさびしげなメロディもいいですね。はっきり言って地味な曲ですが、 しみじみといい曲だな〜と思えるような、そんな曲です。

12.St.Anne's Reelはこれもまた有名なフィドルチューンですね。 これはKennyが一人で弾いているのですが、これが本当に素晴らしい。 音が途切れることなく、前の音の余韻を残しながら次の音が弾かれるという 感じで、感動してしまいます。そして、聞きほれているうちに曲が 終わり、アルバムが締めくくられるって感じです。いやあ、素晴らしい。 これはぜひ聞いてもらいたいです。ほんとに。

最後に、このアルバムは最初に述べたとおり地味ですけれども、 ギターの美しい音色に心休まることと思います。仕事or勉強に疲れた方、 聞いてみてはどうでしょうか?


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Kristin Scott / Kristin Scott (1996)
1. Shenandoah Breakdown
2. Bye Bye Blues
3. Follow The Leader
4. The Last Date
5. Roanoke
6. White Horse Breakdown
7. Charmaine
8. Alabama Jubilee
9. Clinch Mountain Backstep
10. Danny Boy
11. Groundspeed
12. With Love To London
Kristin Scott : Banjo
Boole Beach : Guitar
Matthew Allred : Bass,Mandolin
Wayne Benson : Mandolin
Jason Carter : Fiddle
Charlie Cushman : Base
Gail Rudisill : Fiddle
Larry Stephenson : Mandolin
Label/No etc. KS-001 8298.2
お買い求め情報 うーむ。どこで売ってるんだろう・・・。
備 考

Kristin Scott / Kristin Scott

はじめに

今回はちょっと毛色の違ったアルバムをご紹介しましょう。 今までは結構有名どころを紹介していたんですが、今回は マイナーで、かつB級っぽいアルバムです。しかし、勢いはあります。 もやもやした気分のときに聞けば効果アリでしょう。

いったい何者?

さて、このKristin Scottを知っている方ってどれくらいいるのでしょう。 おそらくほとんどいないでしょうねえ。
で、このKristin Scottは何者かというと、

1. バンジョー弾き

2. 女性

3.若い

という人です。女性ということで(?)ジャケットはもちろん本人の写真 です。あ、ちなみにジャケ写買いしたわけじゃないですよ(ほんと)。

買った理由

このアルバムはブルーグラスを扱っているCD屋、京都のチェロキーで 買いました。行くのは宝塚フェスの帰り、つまり年1回なんですが、 なんとここの店主のおじさんは僕の顔を覚えていたんですね。 で、僕がレジにCDを持っていったら「これもオススメだよ」といいつつ CDを何枚もかけるではないですか!で、それがまた僕の好みにはまって いて、ついつい買いすぎてしまいました。このアルバムはその中の 1枚というわけです。

ちなみにおじさんがすすめてくるのはメジャーどころではなく、 あまり有名じゃないところで攻めてきます。すすめられて買った CDのプレイヤーが後で有名になったりすると、なんかうれしいですね。 ちなみに現在Ricky Skaggsのバンドでバンジョーを弾いている Jim MillsというプレイヤーのCDを勧められて買ったのですが、 当時はまったく名前も売れていませんでした。今はすっかり有名に なっちゃいましたね。

かなり話がそれましたが、みなさんもチェロキーに行く機会があれば、 おじさんにオススメを聞くと掘り出し物が見つけられるかも知れませんよ。

アルバム紹介

曲目を見ていただければわかるでしょうが、もうバンジョーの有名どころが いっぱい詰まってます。僕は実はバンジョーもかなり好きなんですが、 やっぱりバンジョーのインストは速い曲が好きでして、そこからいくと このアルバムはおいしいですね。

音の方ですが、やはり一流のプレイヤーがそろったメジャーバンドに 比べると、甘い点があります。しかし、ノリでカバーです。 聞くとスカッとしますね。元気が出てきます。これぞブルーグラス!

さて、オススメ曲ですが、やはりまずは1曲目のシェナンドー。 これを聞かされて僕は買ってしまったわけですねー。 かなりノリがいいです。終わり際に入っている取ってつけたようなキメも B級アレンジを好む僕にとってはたまりませんね。

3曲目のFollow The Readerもバンジョーを堪能できます。これもノリノリ。

5曲目のRoanokeではなんとツインバンジョー。両方とも自分で弾いている ようです。

8曲目のAlabama Jubilee,9曲目のClinch Mountain Backstepという 有名どころもなかなかいいですね。そして11曲目のGround Speed。 もうおいしい曲ばっかやってます。どうせならDear Old Dixieも やってしまえば良かったのに。

そして、最後の曲は一人で弾いています。前回紹介のKenny Smithもそんな 感じでしたが、こっちの方ははっきりいってイマイチです。まあ 20歳(当時)の女の子ですから、愛嬌ということで許しましょう。

ということで、ノリの良さという点ではかなりいいアルバムではないかと 思います。ただ、探すのが大変かも・・・・。


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Blue Highway / It's A Long, Long Road
1. It's A Long, Long Road
2. Lonesome Pine
3. Canadian Bacon
4. Before The Cold Wind Blow
5. Bule Ridge Mountain Girl
6. Farmer's Blues
7. The One I Left Behind
8. In The Gravel Yard
9. England's Motorway
10. Flannery's Dream
11. Lord, Won't You Help Me
12. Say, Won't You Be Mine
Shawn Lane : Vocals, Mandolin, Fiddle
Wayne Taylor : Vocals, Bass
Tim Stafford : Vocals, Guitar
Rob Ickes : Dobro
Jason Burleson : Banjo, Mandolin
Label/No etc. SHCD3869
お買い求め情報 ブルーグラスのCDを扱ってる店、もしくは通信販売など
備 考

Blue Highway / It's A Long, Long Road

Blue Highwayというバンド

今回はメジャーどころをレビューしてみようかと思います。 Blue Highwayの1枚目、It's A Long Long Roadです。 このバンドのメンバーで現在一番有名なのはドブロのRob Ickesだと思われ ます。しかし、このバンドを結成した時点では、まだRob Ickesはさほど名は 売れていませんでした。むしろ、ギターのTim Staffordの方が有名だったと 思います。少なくとも僕はTim Staffordが目的でこのアルバムを聞きました。 彼はこのバンドの前に、Alison KraussのUnion Stationに参加しており、 アルバム「Everytime You Say Goodbye」でかなり評価を得ていたのです。 そして、このアルバムでBlue Highwayは一躍人気バンドとなり、現在に 至ります。

ブルーグラスに限らず、バンドにとって大切なのは、「カラー」だと僕は 考えています。バンドから想像される曲のイメージが固まり、そしてそれが 評価されれば、バンドとしては成功なのかなと思います。 その「カラー」に魅かれたファンは、新しいアルバムを聞いて「いかにも このバンドっぽい音だ」と思いニヤリとしたり、ちょっと毛色が違うのが あればこういうのもいいかも、と思いつつそのバンドにさらにハマっていく のではないでしょうか。

その点、Blue Highwayはこの1枚目で「カラー」を確立できたのではないかと 思います。一番特徴的なところを言えば、タイトなリズム、ブルージーで カッコよい曲調ってとこでしょうか。聞いたことがない方も、この アルバムを通して聞けばカラーが見えてくることでしょう。


ボーカル面

Blue Highwayのボーカルの中心はマンドリンのShawn Laneとベースの Wayne Taylorです。Tim Staffordがメインボーカルを取る曲も あります。

さて、もちろんボーカル面でもカッコイイわけですが、個人的には どうもShawn Laneの声が気に入りませんでした。どうも頼りない声で、 高い声が出るところはいいんですが、ちょっと力弱い感じがしたのです。 ビルモンローやデルマッカリーのような「ハイロンサム」という感じでは ありませんでした。

そんなある日、Blue Highwayが熊本のカントリーゴールドに出演した時の 映像を手に入れました。 3曲しかオンエアされていませんでしたが、 このアルバムに収録されている「Lonesome Pine」「Blue Ridge Mountain Girl」 を歌うShawn Laneを見て、印象が変わりました。 力いっぱい歌っている(ように見える)映像を見たあと CDを聞きなおしたら、あら不思議、 力強く聞こえるように(気のせい?)なっていたので ありました。

ちなみにそのビデオテープは見過ぎのせいか、その部分だけ映像がおかしくなって しまい、今は見れなくなってしまいました(涙)。 それはさておき、やっぱりライブを見るとかなりそのバンドが 良く見えてきます。来日してくれないもんでしょうかねえ。


楽器面

このバンドはもちろん各楽器のレベルも高いです。全員ものすごくウマいん ですが、ここはやっぱりギターのTim Staffordに注目したいとこです。 バンド全体のタイトな音はこのギターが中心になって作られているような 気がします。また、リズムだけでなく、ソロも素晴らしいものがあります。 Tim Staffordはあまりソロバリバリという人ではありませんが、 このアルバムの何曲かで見せるソロのレベルは高いです。特に3曲目の インスト、Canadian Baconでは2度ソロを取っていますが、非常に印象に 残るプレイだと思います。特にセカンドブレイクの音使いは必聴ですね。 ちょっと曲のタイトルは??って感じですが・・・

他の楽器ももちろんカッコいいです。ドブロのRob Ickesのファンの方も 多いでしょうが、個人的にはバンジョーのJason Burlesonの音もかなり 好きです。特に前出のカントリーゴールドの演奏はかなり良かったです。 残念ながら彼はすでにバンドを脱退してしまいましたが、現在は Johnson Mountain BoysのTom Adamsが加入しています。この話を初めて 聞いたときは、周りと合うのかなあ?と思ったのですが、加入後のアルバム を聞いてまったく心配無用だということがわかりました。Tom Adamsの 入ったBlue Highwayもかなりイイです。ぜひお聞きくださいね。

おわりに

さて、今回は各曲の紹介は特にはしませんが、聞いたことがない方は ぜひ聞いてみてください、Blue Highwayの世界が見えてくると思います。


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