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Bluegrass駅伝的アルバムレビュー「Bluegrass Times」
 
駅伝的アルバムレビュー「BluegrassTimes」 / 内山裕規 -bass-

Rob Ickes / Hard Times (1997)
1. No More My Land
2. Down in the Hole
3. Tom Dooley
4. Flatt Lonesome
5. Reuben
6. A Song for Jennifer
7. Look-Ka Py Py
8. Hard Times
9. Ashland Breakdown
10. One Bad Case of the Blues
11. How Great Thou Art
12. Uptown Blues
Rob Ickes : Dobro, Lead Vocal(3,10)
Tim Stafford : Guitar
Ron Block : Banjo
Stuart Duncan : Fiddle
Adam Steffey : Mandolin
Jerry Douglas : Dobro
Barry Bales : Bass
Shawn Lane : Mandolin,Lead Vocal(8)
Jason Burlenson : Banjo
Wayne Talor : Bass
Victor Krauss : Bass
Larry Atamanuik : Drums
Gary Smith : Piano
Label/No etc. Rounder CD 0402
お買い求め情報 ブルーグラスの置いてある店ならあるのでは
備 考

Rob Ickes / Hard Times

2周目から参加する内山といいます。よろしくおねがいします。
今回取り上げたアルバムは、「ブルーハイウェイ」というバンドでドブロを弾いているロブ・アイクスというひとのファーストアルバム「Hard Times」です。
アルバム全体を聞いてみると、ドブロのソロ、ブルーハイウェイの人たちとの合奏、ドラムなどとからむジャズ、Adam Steffey、Barry Balesらと のセッション、とバラエティに富んでおります。
結構地味なこのアルバムはさほど話題にはなっていません。ドブロ愛好家以外でこのCDを買った人は少ないのでは。
しかし、注目すべき点がいくつかあります。
まず@のドブロのソロからはじまるのですが、「ドブロ一本、俺の人生(みち)」というロブの意気込みが伝わってくるかのようです。目頭が熱く なってきました。EやJもドブロソロです。
そしてBはドク・ワトソンもうたっていた「Tom Dooley」という歌です。ここではなんとリードヴォーカルをとっています。意外といい声してま す。やったね。
Cや、とくにFなんかは、セカンドアルバム「Slide City」できけるようなジャズ的アプローチが見られます。
後半の曲はなんか普通の感じでアレなんですが(って書くとおもしろくなさそうだが、特にドブロの”ブリブリ感”はJerry Douglasよりもキてる と思う)、このアルバムで最も注目すべき曲、それはDの「Reuben」です。
なにがすごいか、というと、まずRon Blockのバンジョーによる異常にタイトなバッキングがかなりのハイテンションを作っています。ゾクゾクし ます。そこにRobとJerryの壮絶なバトルが・・・。もちろんほかの人、Barry Bales、Stuart Duncan、AdamやTimもがんばっています。

ぼくの気持ちが伝わったでしょうか。ぜひきいてみてください。


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Doc Watson / Doc Watson (1964)
1. Nashville Blues
2. Sitting on Top of the World
3. Intoxicated Rat
4. Country Blues
5. Talk About Suffering
6. Born About Six Thousand Years Ago
7. Black Mountain Rag
8. Little Omie Wise
9. Georgie Buck
10. Doc's Guitar
11. Deep River Blues
12. St.James Hospital
13. Tom Dooley
Doc Watson : Vocal,Guitar,Banjo,Harmonica
John Herald : 2nd Guitar(1,7)
Label/No etc. Vanguard(VMD-79152)、国内盤もでています
お買い求め情報 フォークソング、カントリーコーナーにあると思います
備 考 一家に一枚

Doc Watson / Doc Watson

こんにちは。二回目です。今回とりあげるレコードは盲目のギタリスト、ドック・ワトソンのファーストアルバム「ドック・ワトソン」です。
ドック・ワトソンはブルーグラスからはすこし外れてしまいますが、その後のギター弾き、クラレンス・ホワイトやデヴィッド・グリアなどに与え た影響を考えた場合、ブルーグラスからは切っても切り離せない存在だと思います。実際、デヴィッド・グリスマンとの共演、マール・フェスでは ブルーグラスの一流プレイヤーとステージに出ています。
モノクロのジャケットに写っているギターはD−18ですな。カッチョイイですね。ここではほとんどが弾き語りで2曲がインストルメンタルで す。

まず、このCDの前半の聴きどころはなんといってもFのBlack Mountain Ragです。これぞドック・ワトソン、という名演です。Hot Pickin'バン ザイ! 
ところで、ここでのBlack Mountain RagはキーがDですが、ほかのCDでこの曲がDで演奏されるのを聞いたことがありません。みんなAとかでや っていますがなぜでしょう。知っている方は教えてください。
前半ではAのSitting on Top of the Worldも、ブルーグラッサーにはなじみの曲ですね。ちなみに邦題が「曇のち晴」となっていますが、そうい う気持ちを歌った曲なのでしょう。あとDはアカペラでかっこいいです。たしかリッキー・スキャッグスもこの曲をコーラス付でやっていたと思い ましたが、このCDのほうが男らしくて断然好きです。

では、後半です。後半は渋めの曲が続きます。
Jはフィンガーピッキングでの演奏です。グリスマンとのライヴでもやっていたので、わりとお気に入りの曲なのでしょう。
Kのような暗めの曲ではドックの渋いヴォーカルがいっそう引き立ちます。「Southbound」というアルバムの1曲目Walk On Boyもかなり渋くて素 敵。
Lはトム・ドゥーリーという殺人犯の歌。こういう悪者を主人公にした歌って、米国南部ではよくあるみたいですね。コーラスの最後の音が、コー ドのルート音でなく5度で終わるので、なんだかやるせない感じです。

ドック・ワトソンの歌とギター、いかがでしょうか。あるときはホットに、またあるときは渋く、すばらしいですね。特にギター弾きの若者は一度 聴いてみると良いと思いますが。では。


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Del McCoury,Doc Watson & Mac Wiseman / Mac,Doc & Del (1998)
1. Little Green Valley
2. The Old Account
3. Speak to Me Little Darlin'
4. New Moon Over My Shoulder
5. Beauty of My Dreams
6. I'll Sail My Ship Alone
7. When a Soldier Knocks
8. Live and Let Live
9. I've Endured
10. Talk of the Town
11. Black Mountain Rag
12. I Wonder Where You Are Tonight
13. More Pretty Girls Than One
Del McCoury : Guitar, Vocal
Doc Watson : Guitar, Vocal
Mac Wiseman : Guitar, Vocal
Ronnie McCoury : Mandolin
Rob McCoury : Banjo
Jason Carter : Fiddle
Mike Bubb : Bass
Terry Eldridge : Guitar
Alison Krauss : Harmony Vocal
Jerry Douglas : Dobro
Jack Lawrence : Guitar
Gene Wooten : Dobro
Byron House : Bass
Label/No etc. Sugar Hill SHCD-3888
お買い求め情報 タワーレコードで買いました
備 考

Del McCoury,Doc Watson & Mac Wiseman / Mac,Doc & Del

前回につづき、またドック・ワトソンがらみのアルバムです。
この「Mac,Doc & Del」というCDではタイトルどおりデルとドックとマックさんの ヴォーカルがフューチャーされたアルバムです。(マック・ワ イズマンのことはよく知らないので「さん」付けになってしまいます)
なんかこの三人って、アメリカン・ルーツ音楽(白人)の重鎮というかんじです ね。Cではアリソン・クラウスもコーラスをとっているはずなので すがすごく地味で、本当に歌っているのかさえわかりません。この三人の権力の強 さがわかるような、わからないような。

さて、中身に入ります。全体的にホンワカ風味のアルバムです。@はわざと音 質を落として古いレコードのようです。それでもなんかしっくり きてしまいます。Bはめずらしい(?)デルの弾き語りです。 はじめてデルの歌を聞いたときは、正直言ってカルチャーショックでした。 デルの歌がいいとおもえるようになることがブルーグラスへのハマり具合のバロ メーターだというような話も聞いたことがありますが。 DとHはデル・マッカリー・バンドのみでの演奏です。
特にDはいいです。後 半に行くにしたがってどんどんテンションが(演奏する人も聞い てる人も)上がってしまいます。 ジェイソンのフィドルのバッキングはかっちょいいですね。この曲だけでもこのC Dはすばらしい。
Kはブルーグラスではおなじみの曲です。「トゥンヌァァイ」とマックさんが 歌っています。デルがコーラスをつけていますが、ぜんぜん声の タイプがちがう(マックさんはアメリカン田舎ナイスおやじ、デルは?)のでハモ りの声質もけっこう大切だとおもいました。 (この間、後輩のSがハモりについて熱く語ってくれました)逆にロニーがデルの コーラスをつけるのは最強の組み合わせだとおもいます。(どっ ちがどっちだかわからん)
あと、ジャック・ローレンスという人も何曲かに参加していますが、ドックとグリ スマンのビデオでの演奏がすばらしかったのでこの人に関する情 報を待ってます。
けっこう地味なアルバムですが、おやじヴォーカルを堪能してください。


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Doc Watson & David Grisman / In Concert(1999)
1. Bye Bye Blues
2. Shady Grove
3. Summertime
4. Sweet Georgia Brown
5. Hobo Bill's Last Ride
6. In The Pines
7. Long Journey Home
8. Lonesome Moonlight Waltz
9. EMD
10. I Don't Love Nobody
11. Will You Be Loving Another Man
12. Deep River Blues
13. Soldier's Joy
14. Blue Eyed Jane
15. Kentucky Waltz
16. Big Sandy/Salt Creek
17. Roll In My Sweet Baby's Arms
18. Roll On Buddy
Doc Watson : Vocal,Guitar
David Grisman : Mandolin,Chorus
Jack Lawrence : Guitar
Label/No etc. Vestapol 13082
お買い求め情報 タワーレコードで買いました
備 考


Doc Watson & David Grisman / In Concert

今回とりあげる作品は「Doc Watson & David Grisman In Concert」というビデオの 作品です。 演奏はほとんどがドック・ワトソンとデヴィッド・グリスマン、そしてジャック・ ローレンスというギター弾きの三人によるものです。 僕にとってのフェイバリットプレイヤーが二人とも出演しているので、興奮しまし た。そして観るたびに興奮しています。 収録されている曲は、トラディショナル、ドックやグリスマンの十八番など、おなじ みの曲が多いです。

1曲目は「Bye Bye Blues」という軽快にスイングするナンバーです。ドックの チョーキングに観客は大興奮。 僕はジャック・ローレンスという人を初めてみたのですが、かなりの凄腕のようで す。 3曲目「Summertime」は、たしかジャズの曲だったとおもいます。明らかにカメラを 意識したグリスマンの動き。 6曲目はおなじみの「In The Pines」をドックとグリスマンの二人で演奏していま す。 ブルーグラスでもよくとりあげられている曲です。 寂しい曲調のワルツです。南部の山奥で、男が家においてきた妻を思っている、とい う内容だそうです。 これが「ホワイト(白人の)ブルース」というやつなのでしょうか。 9曲目はドーグから「EMD」。(このビデオ全体にいえるのですが)いつもよりかな り落ち着いた感じの演奏です。 グリスマンも首を動かしているだけでした。 12曲目「Deep River Blues」ではドックはフィンガーピッキングで演奏していま す。 ドックはフラットピックでも指でも弾けて、しかも歌もできるのがすごくかっこいい ですね。 ファーストアルバムにも収録されている、代表曲です。

いかがでしたでしょうか。全体的にほのぼのした雰囲気がします。 それはきっとグリスマンがいつものようにあまり動き回らないからではなく、ドック の歌やギターから発せられる「男気」のせいです。「やさし さ」ともいいます。 そんなドックが動いているのをみることができてしあわせです。


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