Music Archive
 Review
EP Records
Rhythm & Blues→ 吾妻光良さん 近藤房之介さん 有山淳司さん 内田勘太郎さん
Jazz etc.
Bluegrass
 
有山淳司さん「ぼちぼちいこか」

学生時代にYellowPage(←懐かしい札幌のタウン誌)のインタビューを受ける機会がありました。
内容は自分の最も好きなレコードを1枚挙げ、その魅力を語るというコラム記事のインタビューです。

モノが何であれ「一つ選ぶ」というのは悩ましい上、それを明かすことで人間性も一緒に露呈してしまうような気がして慎重になってしまいそうなところ、この時ばかりは迷うことなく「ぼちぼちいこか」を挙げました。

当時のその記事は、今も切り取ってこのレコードのジャケットの中に入っています。
読み返すと、可愛い後輩の女の子が貸してくれたのがきっかけだったと書いてあります。大変良い話です。
初めてこのレコードを聴いた時の 「これはもしかしてスゴい1枚を聴いてしまったのではないだろうか・・・」という感覚は今もハッキリ覚えています。

私のこのレコードの「好きさ加減」は殆ど病的と言って良く、ここで聴ける有山淳司さんのギターはもう、取り憑かれたように練習しました。
もう目をつむっても1曲目から最後まで全て手が動きます。
このレコードこそは、ラグタイムという音楽を、「モノの本で読む、いちジャンルとしての音楽」から「自分のギターから鳴り出す音楽」に変えてくれた、強烈な一枚です。

 散歩しましょう 御堂筋でも 梅田からナンバまで−

これはB面1曲目の「梅田からナンバまで」の一節で、大阪の街を歩いたことがなかった私は、大阪へ行ったらこうして梅田からナンバまで歩かねば、と常々夢見ていたものです。
ですから初めて実際に大阪をおとずれた時は、ほとんど「金比羅様めぐり」でもしているような気分で、時間の大部分をこのレコードに出てくる地名巡りに費やしました。

道中、常に缶ビールと6〜8個入りタコ焼きを携帯して歩きます。
さすが大阪、タコ焼きは切れてもちょっとあたりを見渡すとすぐ代わりが買えます。お好み焼き屋もたくさんあります。
そのうち酔っぱらってくるし、もう楽しかったことと言ったらこの上なく、昼過ぎには完全に泥酔していました。

そうこうしているうちに夜になり、ちょっと裏通りの方にも入って大阪の街をさらに探検していましたら、突如素晴らしい看板が目に入ってきましたので記録しました。
マッサージの看板と思われますが、妙に肉感的だが決して若くはないと思われる女性と禿げたオッサンの組合せが強力にいかがわしさを増幅させており、しばし動けず見入ってしまいました。

<つづく>

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