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(2006年記) 「シーニック・ナイト」は、シーニック・バイウェイ「支笏洞爺ニセコルート」で行われる、真冬の行事です。 ルート内にある旅館街、温泉街、スキー場等を中心に、雪の壁に小さな横穴を掘ってキャンドルを灯す行事で、観光客の方々も参加して3万個のあかりを灯します。しれはもう幻想的な光景です。 このシーニック・ナイトの主催者の一人であった中村幸治さんから、2006年の冬にテーマ曲制作の依頼をいただきました。 御存知の方も多いかと思いますが、ギターに張る6本の弦の音程は、1弦から6弦に向かって E(ミ)、B(シ)、G(ソ)、D(レ)、A(ラ)、E(ミ) と並んでいます。 この音程を意図的に変えて調律する場合もあり、これを変則チューニングと呼びます。 シーニック・バイウエイの曲を書くに当たり、どんな曲にしよう?と「SCENIC BYWAY」という文字をジーッと眺めていると、この綴りの中に 「A」「B」「C」「E」という 「音の高さを表すアルファベット」が4つ存在しています。 しばし考えた挙げ句、この4音でギターをチューニングして作曲・演奏してみることにしました。 試行錯誤の結果、1弦から6弦に向かって「E→B→E→C→A→C」 と調律することに決めたのですが、使い慣れたコードや運指は全く役に立たず、壁にぶち当たってばかり。 しかし、このマニュアルのない中で何かを実現しようとする精神は、シーニックバイウェイのそれと重なるのではないか?と苦行僧のように自問しつつこの新チューニングと格闘し、完成したのがこの曲です。 寒ーい冬に、一つ一つろうそくの火が灯って、それが広がってだんだん暖かくなっていく様子−。 そういったものが表現できていると良いのですが。 |