Theater Archive
 大通公園テント芝居

1994年 ストラヴィンスキー祭文
1995年 花札伝綺
1996年 百億年の空
1997年 闖入者
1998年 サーカス物語(→バレン座)
 
1995年公演 花札伝綺

1995年(平成7年) 9月16(土)
 札幌市中央区大通西8丁目 大通公園特設テント
原作 寺山修司
潤色 本間盛行
演出 紅千鶴
振付 梅津美由喜
照明 高橋正和
美術 田中美沙 佐藤真由美 吉田ひでお 佐藤ルカ
美術制作 福田恭一
宣伝美術 三宅剛
制作 紅千鶴
音楽 橋本幸
役者 中神治夫 梅津美星子 岡田章 林千賀子 京極圭 川上昌弘 笠井真波 高木法人 井関嘉浩 三井千珠 太田真樹 河内哲二郎 安田玲奈 畠中信 松本直人 権藤利一
ダンシングチーム 平戸健司 井原輝弥子 下村千晶 若林理 猪俣さおり 村橋みほ
楽団 西田等 清水穂高 岸本佳久 広吉直樹 橋本幸
(クレジットは公演当初のポスター・ビラ等に記載のもので、その後の加入・交替等を反映していない場合があることを御了承下さい)



花札伝綺(はなふだでんき)

賑やかな、思い出深い、夏芝居でした。
寺山修司の台本に、本間盛行が手を加え、紅千鶴の自身初の演出となった作品です。

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主役は岡田章。北大演研が誇ったスターです。
伝統ある北大恵迪寮の仮装ジャンプ大会や女装コンテストといった「権威ある大会」においてもことごとく優勝を射止めており、そのスター性は天性のものと断言して良いでしょう。
この岡田が現在芝居をやっていないという事実は誠に惜しまれますが、その点からも「花札伝綺」と次作「百億年の空」で一緒に 芝居ができたことは、せめてもの幸運だったと感じます。

林千賀子は歌留多(カルタ)という女性を演じ、「歌留多のドドンパ」を歌いました。
展開上、楽団も必要となり、当時からライブ・ハシモトコウアワーに出演してくれていた有能なミュージシャンの方々にお手伝いを頂きました。

あれから15年。ダンサーの一人・下村千晶さん、そしてバックで演奏してくれたドラマー・清水穂高さんが亡くなっていることは、痛恨の極みです。
劇中で挿入したドドンパのギター変奏版は、公演当日の未明、テントの中で千晶さんに手伝ってもらいながら弾いた曲で、聴いていると胸が苦しくなって泣けてきます。
朝焼けに 染まったら 子ガラスの唄で起きましょう
 黒く冷たい 目覚まし時計
葬列を 眺めたら 花束で日暮れを飾りましょう
 菊と曼珠沙華の 花束で
そして夜になったなら 明かりの下で
 あなたとお話しましょう 眠る時は棺の中で
添い寝をしましょう 夜毎 夜毎の道行き     >♪歌留多のドドンパ(guitar)


中神治夫さんは、この時はじめてお会いした大ベテランですが、北大演研やほうぼう舎のような突撃系の芝居ばかりやってきた私にとって、一緒に芝居ができたことは 本当に貴重な体験でした。
ベテランという点では、畠中信、松本直人、権藤利一という「ちょっと豪勢に集め過ぎてやしませんか・・・?」というくらいの皆様が、言わばチョイ役で多数出演してくれ、 贅沢感が一層増しています。

中神と絶妙なコンビネーションで妻を演じたのは梅津美星子!
この重要な役と、踊りの振り付けを兼任していたので結構な負担だったはずなのですが、 独特の明るい前向きなキャラクターで、人望を集めました。
後に、この人望を活かしてとでも言うのか、踊り手を大勢集めてYosakoiチーム「祭響スコブル」を旗揚げし、人気を博していきます。

川上昌弘と笠井真波は怪しいカップルを演じ、私生活も含めてどうにも怪しい感じで注目を集めました。

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ポスターは三宅剛。
私は彼の絵が本当に好きで、Liveハシモトコウアワーの初回時も、ステージのバックに貼る絵を描いてもらいました。
デカイ鳥の絵で、今も「御本尊」として開演前に掲示させて頂いています。
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この芝居は私の経験の中では最多の出演者で、とても全てを紹介するのは困難ですが、手を抜いて言えば、ベテラン・中堅・若手が、男性・女性が、 突撃系と安定系がバランス良く存在した、少なくともやってる方にはこんなに楽しい芝居はないというくらいの芝居でした。

テーマ曲を聴くと、今もあの暑い大通公園の日々を思い出します。 >♪花札伝綺


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