2001.11.12
 帰宅


友人の結婚式があり、札幌へ帰りました。
8月末以来、母のいない家にはじめて帰りました。
もう家に帰ってもいないんだなと思うと言いようのない寂しさを常々感じていましたが、やっぱり寂しいもんですね。
そこここに母の思い出がある家で、父は1人で頑張っていました。つまみなど作って待ってくれていて、遅くまで飲みました。




2001.11.14
 稽古場の夜


既に御案内しておりますバレン座2001年冬公演「ちゃっかり八兵衛」。この帰札の機会に、稽古に顔を出すことが出来ました。

この「ちゃっかり八兵衛」は時代劇コメディーで、人気作家マキノノゾミさんの戯曲。
9月末に台本の送付があり、読後 演出とも意見を交わしながら、テーマ曲をビッグバンド・ジャズ風とすることに決め、以来、あれやこれやと地味な作業が延々と続きました。

この作曲という作業と、それを楽曲として組み立てて行く作業の地味さ加減については、芝居のたび御紹介しているとおりです。(命がけ!芝居の音づくり参照)

だいたいビッグバンドと一口に言っても編成に細かいバリエーションがあり、ブラスバンドとかに参加した経験のない私にはその辺の相場感がないので、 「トランペットを何本にしようか」とか、「サックスは1本ずつで良いだろうか」とか、何かと悩みは尽きません。

数々の労苦を伴う曲作りも今月初旬、めでたく完成の運びとなり、MDに録音されたそれは速達で札幌へと輸送されて行きました。


さてこの「ちゃっかり八兵衛のテーマ」を歌うのは、3人のコーラス・ギャル。
ギャルとは最近聞かない言葉ですが、良いのです。コーラス・ギャル。
今回の第1の目的はこのコーラス・ギャルとの歌の稽古だったのですが、この3人が実に優秀で、歌唱力、色気、可愛気、小悪魔性、悩殺度など、必要な要素を各種備えています。 勿論見た目にも申し分ありません。
魅惑のコーラス・ギャルの歌声、お楽しみに。




2001.11.30
 エレベーター


現在私の職場の建物は改装工事中です。

中央官庁という割にはその建物は古くショボくれており、かと言って歴史を感じるという風情でもなく、イメージ的には廃業した病院みたいな雰囲気になっちゃっています。
地下1階の売店を除き、全然魅力がありません。

今般の省庁再編によって建物の中の各課を再配置する必要が生じ、建物全体で引越しという話もあったようですが、それはそれで莫大な予算がかかる話。
この世の中、役所を綺麗にするのにそんなお金を使えるわけもありません。
結局どうしているかというと、ある課が所定の場所に移動し、空いたところに次の課が入るという、泣きたくなるほど地味な作業を繰り返して新しい体制を整えています。

昔、お祭りとかで、16のマス目上で15個のコマをガチャガチャ動かしながら所定の並びにするパズルみたいなのが売ってましたが、ほとんどあんな世界。
あれは手の平サイズだから可能ですが、建物全体でそれをやるとなるとこれは大変なことなので、綿密に組まれた移動プログラムを基に、 各課が順番にウニウニと動いています。
そうこうしながら約半年。最近はそうしたウニウニ動きも一段落し、省内の標識類を付け替えたりとかしていますので、恐らく最終段階に入ったものと思われます。


その一環でリニューアルしているのがエレベーター。
最近の大きな建物ではIT制御で各機が最も効率的な動きをするインテリジェンス・エレベーターが当たり前のように装備されていますが、 当省のエレベーターはインテリジェンスという世界とは無縁の大馬鹿モノで、どこかの階でスイッチが押されると全機一斉にその階に向かって突撃して行きます。
全く呆れるほど一本気なヤツらだったのですが、どうやらこの改修工事でそんな彼らともお別れです。


で先日この改装中のエレベーターに乗ったところ、細部のパネル等の入れ替え作業中。とは言え、動きに問題はないようです。
私は6階のボタンを押しました。
ウィーン・・・。

ところでエレベーターの中では、不思議と全員がドア上部の階数表示のランプを見つめ続けるという行動が一般的。
私もこの不文律に従い、前方斜め上を見上げました。

ところが!
今日は、そこにあるはずの階数表示がないのです。

いくら改装途中とは言えこれには驚きました。
これではドアが開いても一体そこが何階なのかも判りません。
どうやら私だけでなく、エレベーターの乗客の全員に、言い様のない動揺が広がっているようです。

容赦なくエレベーターは、ある階に止まりました。
チーン。ガー(←開く音)。
その瞬間、乗客の目はドアの外に一斉に向けられ、そこが何階なのかを知る手がかりを血眼で探します。
幸い私はかなり向こう側にある○階と書かれた小さな文字盤を発見しました。
(・・・えーと・・・3階!) ガー(←閉まる音)。
こ、これはスリリング!
何階か分かった時には既にドアは閉まり始めるのですね。

私はこのエレベーター内の階数表示がこんなに大切なものだと初めて知りました。本当に大事なものというのは無くして初めて気が付くのでしょう。

*

ところで今回この事態に遭遇し、私はもうひとつ別のことに気付きました。

混んだエレベーターの中では、ヒトは自分の降りる階が近付くと微妙な動きや咳払い等で次に降りることを周囲に知らせ、周囲もまた阿吽の呼吸でその意志を察知しすることで、 ドアが開いた瞬間のスムーズな人の流れが可能になっていたのです。

それが、何階にいるのかを知る術を奪われた今、私達の動きはぎこちなくなり、ふと周りを見ると全員がいつでも降りられるように、爪先に重心が乗った不自然な体勢になっているではありませんか。

エレベーター、それは様々な機能や秩序をもってはじめて人が便利に乗降できる機械なのですね。